ターゲットnews|第2Q総収入24.7%増の2.3兆円/eコマース195%増が牽引
米国のディスカウントストア第2位のターゲット(ミネソタ州ミネアポリス、ブライアン・コーネルCEO)は2020年度の上半期決算を発表した。
8月1日で終了した第2四半期の総収入は、前年同期比24.7%増の229億8000万ドル(1ドル100円換算で2兆2980億円)、営業利益は73.8%増の23億ドル(2300億円)、純利益は80.3%増の16億9000万ドル(1690億円)と大幅な増収増益だ。
ブライアン・コーネルCEOは決算発表後のインタビューで次のように述べている。
「パンデミックで私たちは外食もしませんし、映画館にも行きません。夏の休暇中の恒例行事はすべて中止となりました。旅行で使う飛行機代も宿泊費も小売りに向かっているのです」
売上高全体に占める既存店の売上高は82.8%(前四半期は84.7%)とこれまでで最小となったが、オンライン売上高はこれまでで最大の17.2%(前四半期は15.3%)となっている。
既存店の売上高対前年同期比は24.3%増と過去最高の伸びを見せた。客数は4.6%増、客単価は18.8%の大幅増となった。既存店売上高のうち店舗での買物は10.9%増、オンラインでの買物は13.4%増だった。
オンライン売上高は前年同期比でほぼ3倍となる195%増となった。このうち90%以上が店頭在庫から出荷されている。
オンラインで注文した商品の受け取り方には3つの方法がある。1つ目は店舗の駐車スペースで受け取る「ドライブ・アップ(Drive Up)」、2つ目は店内のカウンターで受け取る「オーダー・ピックアップ(Order PickUp)」、3つ目はシップトによる宅配だ。これらの即日サービスは前年同期比で273%増加した。「ドライブ・アップ」は734%増、「オーダー・ピックアップ」は60%増、シップトによる宅配は350%増の驚異的な伸びだ。
その結果、5つの商品カテゴリーすべてで市場シェアを増やし、今年度上期だけで約60億ドルの売上げ増加となった。増加分の20億ドルは店舗販売によるもの、40億ドルはオンライン販売によるものだ。現在までのオンライン販売総額は約70億ドルに達しており、ホリデー商戦前の状況で、昨年度通期のオンライン売上高をすでに上回っている。
商品については、前四半期に20%減少した衣料品が2桁台で成長した。家電品は70%以上、家庭用品は30%以上、美容・健康用品も20%以上、それぞれ増加した。食品・飲料と日用雑貨品もそれぞれ20%成長したが、前四半期を下回った。
今秋には、PB商品「グッド&ギャザー(Good&Gather)」の新製品600アイテムが加わる予定で、合計2000アイテムとなる。このPB商品は開発から約1年ですでに10億ドル以上売り上げている。
オンラインでの新規客の利用が大幅に増えているが、その一方でターゲットの自社カード「レッドカード(RedCard)」の利用率は前年度の23.2%から20.5%に下がった。
生鮮食品・冷凍食品は、すでに約1500店舗において即日サービスで提供しているが、ホリデー・シーズンまでに1600店舗へ拡大する。また、アルコール飲料も約300店舗に導入する予定だ。
新店舗の開店は3月に3店舗を開店した後休止していたが、建設を再開し、今年中に27店舗を新規出店する計画だ。
ターゲットはスーパーセンターなど4760坪以上の大型店を272店、1400坪~4760坪未満のディスカウントストアを1505店(前年同期から6店舗増)、「フレキシブル・フォーマット(flexible format)」と呼ばれている1400坪以下の小型店を94店(前年同期から12店舗増)、合計で1871店舗を展開している。
絶好調のターゲットだが、その成功要因の第1はオンライン販売の爆発的な増加だ。同社は今期、巣ごもり需要に対応すべく生鮮食品・冷凍食品を強化している。第2に、粗利の高い衣料品や家庭用品の販売増加が後押しした。
第3四半期に入ったが、学校の再開は未定だ。リモート・ラーニングが大部分を占めると予測されるため、バック・ツー・スクール・セールの期間を延長している。バック・ツー・カレッジでは、セール・イベントを店内から駐車場に移し、ドライブ・アップの選択肢を強調している。ハロウィーンの仮装商品は準備しているが、キャンディー配布は減る見通しで、在庫を調整している。なお、今年の感謝祭当日は休業する予定だ。