クローガー 身売り模索中のセーフウェイに接触か
身売りのうわさが絶えないセーフウェイに、全米No.1スーパーマーケット企業のクローガーが接触したと一部報道機関が報じた。事情を知る人物によれば、営業権の一部譲渡が話し合われている模様。報道を受け、ニューヨーク証券取引所では両社の株価が上昇した。
4日、ブルームバーグ(電子版)が伝えたところによると、クローガーはセーフウェイ買収の本命と目される米投資ファンド、サーベラス・キャピタル・マネジメントにも接触している様子で、サーベラスが望まない店舗を買い取る可能性がある。もっとも、セーフウェイ自身は一括売却を望んでいるとされる。
サーベラス、クローガーのいずれが買収したとしても、一部のマーケットでは独占禁止法に抵触する恐れがある。このため、セーフウェイの資産を分割することで事態を打開することも考えられるという。
今回の報道について、クローガーのスポークスマンはコメントを控え、サーベラスとセーフウェイからもまだ回答はないようだ。
サーベラスは昨年、スーパーバリュが所有していたアルバートソン、アクミ、ジュエル・オスコー、ショーズ、スター・マーケットなどを約33億ドル(約3300億円、1ドル=100円換算)で買収している。セーフウェイを資産ポートフォリオに加えることで、規模の経済と市場でのプレゼンス拡大を実現する狙いだ。
セーフウェイは2012年末でアメリカとカナダに計1641店舗を展開していたが、最近になってカナダ事業から資本を引き揚げ、シカゴのドミニクス72店舗も売却した。一方、72%の株式を保有する子会社で、ギフトカードやプリペイドカードを手掛けるブラックホーク・ネットワーク・ホールディングスを昨年4月に株式上場させている。
セーフウェイの2012年度の売上高は442億0650万ドル(約4兆4265億円)で前年同期比1.3%増、営業利益は11億0410万ドル(約1104億円)で同▲2.7%、経常利益は8億2840万ドル(約828億円)で同▲6.1%、純利益が5億9650万ドル(約596億円)で同15.4%増だった。
一方、クローガーは40四半期連続で既存店売上高プラスを達成しており、絶好調。2012年度末で全米に3539店舗を展開。売上高は967億5130万ドル(約9兆6751億円)で同7.1%増、営業利益は27億6350万ドル(約2763億円)で同116.2%増、経常利益は23億0150万ドル(約2301億円)で同172.9%増、純利益は14億9650万ドル(約1496億円)で同148.5%増だった。
もし、クローガーがセーフウェイの全店舗を買収した場合、2012年度の売上高の単純合計(売却したセーフウェイのカナダ事業を除く)で1342億8200万ドル(約13兆4282億円)のスーパーマーケット企業が生まれることになる。
そうするとアメリカの小売業界は、どこへ行ってもウォルマート対クローガーの構図となる。
すなわち商人舎が指摘し続けている「複占」の状態となる。
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