ウォルマート国内部門の立て直し急務?発表から2週間でCEO交代
7月24日、ウォルマートUSのCEO、Bill Simon(ビル・サイモン)が8月8日をもって退任し、9日より新CEOのGreg Foran(グレッグ・フォーラン)が就任すると発表した。なお、サイモンは引き継ぎのため、半年はコンサルタントとしてウォルマートに残る。
さて、先日のTESCOのCEO交代発表のニュースでもそうだったし、ウォルマート・ストアーズのCEOダグ・マクミロンの就任が発表されたときもそうだったが、発表から就任までは約半年ほど設けられる場合が多い。しかし、今回はわずか2週間あまりでの交代劇。なぜか。
ウォルマートの事業組織は大きく三つにわけられる。第一はウォルマートUSと称する国内のスーパーセンターを中心とする事業、第2がサムズクラブのメンバーシップホールセールクラブ事業、そして第3が国際部門。会社全体で見れば、総売上高を伸ばし続けているウォルマートだが、その功績は国際部門によるところが大きい。ここ数年はそれが特に顕著に表れている。
過去2年分のウォルマートのアメリカ国内部門の既存店売上高(ガソリン除く)の昨対を並べてみた。
2013年1月期(FY13)
第1四半期 プラス3.0%
第2四半期 プラス2.5%
第3四半期 プラス1.7%
第4四半期 プラス1.2%
2014年1月期(FY14)
第1四半期 マイナス1.2%
第2四半期 0.0%
第3四半期 マイナス0.2%
第4四半期 マイナス0.4%
2015年1月期(FY15)
第1四半期 マイナス0.2%
ご覧の通り、2013年1月期(2012年2月~2013年1月)からは目に見えて既存店売上高が下降してきた。2014年1月期以降の第1四半期、売上げの改善が全く見られない。この状況を重く見たのは、2月に就任したばかりのウォルマート・ストアーズの若きCEOマクミロン。早々に国内部門のトップの交代を決めた。
Greg Foran(写真引用:Walmart Storesホームページより)
CEOのバトンを受け取るのは現在ウォルマート・アジアのCEOをつとめるグレッグ・フォーラン。中国や日本、インドなどアジアの約850店舗、13万人の従業員を取りまとめる。フォーランはオーストラリアの最大の小売企業Woolworth(ウールワース)でキャリアを積み、30年にわたり、小売業に従事してきたベテラン。
ウォルマートでは2011年からウォルマート・インターナショナルの副社長、2012年からはウォルマート・チャイナのCEOとして活躍。インターナショナル部門のCEOだったマクミロンの部下だったこともあり、その手腕は高く評価されている。
ウォルマートのトップ・マネジメント人事の特徴は、いずれも小売業の経験が深いこと。ユニリーバのトップをスカウトして抜擢したテスコとは、そこが異なる。
日本のベネッセ・コーポレーションが、前日本マクドナルド原田泳幸CEOを迎えたケース、サントリーがローソン新浪剛史会長をスカウトしたケースとは大きく異なる。
それがウォルマートという世界最大企業のアイデンティティである。
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