ターゲットの店内薬局1660店がCVSヘルスに売却され両者の協業進む

CVSケアマーク改めCVSヘルス。ウォルグリーンとしのぎを削る世界最大のドラッグストアチェーン。そのCVSヘルスが、ウォルマートに次ぐディスカウントストアチェーン第2位のターゲットから、ファーマシー部門とインストアクリニック部門を買収することが決まった。買収金額は19億ドル、1ドル120円換算で2280億円。
CVS-hero
ウォルマートのサムズCEOからペプシコ、そしてターゲットCEOへと転身したブライアン・コーネル(左)が思い切った売却策を講じた。

とはいっても、ターゲットがドラッグストアを経営していたわけではない。ターゲットのディスカウントストアやスーパーターゲットのインショップのファーマシー部門約1660店に、CVSヘルスがそのまま看板を掲げて入居するスタイルが中心。

おもしろい。

CVSヘルスの2014年12月期決算は、年商1393億6700万ドル。16兆7240億円。年間成長率は9.9%で好調。

同社は4つのフォーマットを展開している。
第1は小売業のドラッグストア「CVS/Pharmacy」でこれがアメリカとブラジルで7822店。ここにターゲットの47州のインショップが加わって、約9500店の店舗網となる。

第2は「Caremark RX」で、これは薬剤給付管理会社。つまり、薬局と保険会社の間に入り、保険給付の節約、保険会社の管理事務代行サービス、製薬企業や医薬品卸と価格交渉などを行う。

第3が「Minute Clinic」(ミニット・クリニック)で、これは薬局併設型のクリニック。約1000拠点あるが、より迅速な医療を行うために診療項目は咽頭炎・中耳炎・副鼻腔炎・血液検査・インフルエンザ・膀胱炎・妊娠検査の7つに絞られている。

そして最後に「CVS Specialty」は、難病患者を対象にした特殊ケアサービス。

一方、ターゲットは、2015年1月決算で、年商726億1800万ドル。8兆7142億円。成長率は1.9%だが、純利益が16億3600万ドルの赤字。1636億円。店舗数1790。
だから19億ドルでファーマシー部門を売却して、今年度はなんとしても挽回しなければならない。

両者のニーズが合致して、ターゲット店内のファーマシー部門は、「CVSファーマシー」のバナーに変えられ、この分野の全米第1位企業が専門家として運営する。さらにターゲット店内で運営する約80カ所のターゲット・クリニック(Target Clinic)も、CVSヘルスの第3のフォーマット「ミニット・クリニック」のバナーとなって、併合される。この分野では3年以内に、両者が協力して、20カ所のクリニックが新開設される。

さらに、ターゲットの新フォーマット「ターゲットエクスクプレス」の店内に、CVSファーマシーがコンバインされて、このフォーマットは2年間で5~10店、共同開発される。

CVSヘルスは一挙にドラッグストアとクリニックの店舗数を拡大し、しかも増加した店舗はターゲットのディスカウントストアやハイパーマーケットの集客力の恩恵に預かることができる。
ダーゲットは何よりも資本増強されると同時に、インショップのCVSヘルスの信用と既存顧客の来店が期待できる。

CVSヘルスのライバル「ウォルグリーン」はヨーロッパのアライアンス・ブーツと資本提携して、1000億ドル規模のスケールを持つ。一方、ターゲットのライバル「ウォルマート」は国内に約5100店のドラッグストア併殺型のスーパーセンターやネイバーフッドマーケットを展開する。

今回の協業は、ウォルマートとウォルグリーンの、それぞれのWWに対して、CT連合として対抗しようという戦略と見ることができる。

Fortune500では、ウォルマートは世界第1の企業で、もちろん小売業第一。
ウォルグリーンは世界第10位小売業で、2014年度には世界第117位企業だが、アライアンスブーツを傘下に収めて、年商1000億ドルを超える。

CVSヘルスは世界大2位の小売業で、世界35位企業。
ターゲットは世界第9位小売業で世界116位企業。

 

アメリカの規模の競争は10兆円スケールを超え、20兆を視野に入れつつ、超巨大な戦略的同盟の様相を呈してきた。

 

検索ワード;CVSヘルス ターゲット ウォルマート ウォルグリーン

 

 

 

 

 

関連カテゴリー

海外 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧