米国小売業のEコマース売上高ランキング、カテゴリーキラーの変身
デジタルマーケティングの調査会社eMarketerによると、全世界のEコマースの2015年販売合計額は1兆6710億ドルに達する。インターネット販売が年々、爆発的にその売上高を伸長させてはいるが、小売販売額全体の割合で見れば、わずか7.4%に過ぎない。
さらにeMarketerは、米国小売業のEコマース売上高ランキングを発表している。調査対象は小売180社で、そのEコマース総額は2010億ドル。そのうち、上位25社で1590億ドルと総額の約80%を占めている。
つまり上位寡占状態。
ランキングは以下の通り。
企業名 | Eコマース売上高 (百万ドル) |
売上高全体に対する Eコマース売上高の割合 |
1. Amazon.com | $79,268 | 74.1% |
2. Wal-Mart Stores Inc. | $13,484 | 2.8% |
3. Apple | $12,000 | 5.1% |
4. Staples | $10,700 | 55.5% |
5. Macy’s | $4,829 | 17.5% |
6. The Home Depot | $4,267 | 5.0% |
7. Best Buy | $3,780 | 9.4% |
8. QVC | $3,722 | 42.7% |
9. Costco Wholesale | $3,618 | 3.1% |
10. Nordstrom | $2,699 | 18.9% |
11. Target | $2,524 | 3.4% |
12. Gap Inc. | $2,519 | 15.6% |
13. Williams-Sonoma | $2,501 | 50.7% |
14. Kohl’s | $2,367 | 12.4% |
15. Sears Holdings | $2,057 | 7.9% |
16. Wayfair | $1,919 | 100.0% |
17. Walgreens | $1,883 | 1.7% |
18. L Brands | $1,816 | 15.4% |
19. HSN | $1,810 | 49.2% |
20. Groupon | $1,747 | 56.0% |
21. Overstock.com | $1,648 | 100.0% |
22. Lowe’s | $1,636 | 2.8% |
23. Victoria’s Secret (L Brands) | $1,485 | 19.9% |
24. Nike | $1,410 | 4.5% |
25. Neiman Marcus | $1,389 | 27.4% |
トップはもちろん、アマゾン・ドットコム。Eコマース売上高792億6800万ドルで、これはアマゾンの総売上高の74.1%に相当する。残りの4分の1はプライム会員費などによる売上げである。
2位は、ウォルマート。しかし2位といっても、その売上高は134億8400万ドル。首位を独走するアマゾンにかなりの遅れをとっている。さらに割合でみると総売上高のわずか2.8%に過ぎない。しかし、ウォルマートの総売上げから見ると、オンライン販売が伸びる余地がまだまだ残されている。
面白いのは、4位のステープルズ。実店舗をもつ、文具小売のトップ企業だが、そのEコマース売上高は107億ドルで、総売上の55.5%を占める。つまり、実店舗での販売より、インターネットで販売された金額の方が上回っている。かつてのカテゴリーキラーは今やEコマース産業に転業したかのようだ。
Eコマースに焦点を当てたランキングにもかかわらず、実店舗を持たないオンライン通販企業は25社中、7社にとどまっている。アマゾン以外には、3位アップル、8位QVC、16位ウェイフェア、19位HSN、20位グルーポン、21位オーバーストック・ドットコム。
あとの18社は実店舗をもつ、ブリック・アンド・モルタル企業。この「店舗」が、通販企業にはない、大きな武器となる。既存の店舗は、1店1店が在庫を持つウェアハウスとなりうるため、遠方の大型倉庫しか持たない通販企業よりも配送にかかるスピードやコストを削減することができるのだ。
リアル店舗の存在が、オムニチャネルの躍進へとつながる。ネットvsリアルの戦いはこれからも激しさを増す。
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