ユニー・ファミマnews|伊藤忠が公開買付けで50%の株式保有して子会社化

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伊藤忠商事(株)(鈴木善久社長COO)がユニー・ファミリーマートホールディングス(株)(髙柳浩二社長)に対して、公開買付け(TOB)によって、子会社化する取締役会決議をした。ユニー・ファミリーマートの側も、この公開買付けに賛同した。また、公開買付け後も株式上場が維持される予定である。



伊藤忠は現在、ユニー・ファミリーマートホールディングスの41.45%の株式を保有して、持分法適用関連会社としている。取締役3名および監査役1名が伊藤忠の出身者で、40人の従業員が出向している。もちろん商品取引もある。

伊藤忠は公開買付けで保有株式を増やして、50.10%を目指す。つまり株式の過半数を押さえて、持分法適用会社を完全子会社とする。
公開買付けはTOB(Take-Over Bid)と略される。「買付け期間・買取り株数・価格」を公告して、不特定多数の株主から株式市場外で株式を買い集める。今回の買い付け期間は、今夏の8月ごろを目指すと発表されている。買い付け期間は1株につき1万1000円。買い付け予定株数の上限は1093万株であるから、買い付け総額は今のところ1203億円の見込みだ。
総合商社の伊藤忠は、7つのカンパニーを持つ。⑴繊維カンパニー、⑵機械カンパニー、⑶金属カンパニー、⑷エネルギー・化学品カンパニー、⑸食料カンパニー、⑹住生活カンパニー、⑺情報・金融カンパニーである。それぞれに、「川上から川下までを包括的に事業領域」として、多角的なビジネスを展開している。
このうちの⑸食料カンパニーは「原料調達のスキーム設計から、商品開発、製造・加工、更には容器・包装資材の調達等も含め、店頭に商品が並ぶまでの食料バリューチェーンを最適な形にコーディネートしている」。そして日本小売業の中核業態となったコンビニエンスストア第2位の「ファミリーマート」を持ち分法適用会社にして協働している。

今回の子会社化は、その関係をさらに深め、意思決定のスピードを上げることを狙いとしている。もちろん今回のマターは、昨2017年3月に、伊藤忠副社長からユニー・ファミリーマートホールディングス社長に就任した高柳浩二氏の意思だろう。伊藤忠の子会社となることが、ユニー・ファミマにとっても成長を促すという考え方である。【結城義晴の述懐】昨2017年2月10日、三菱商事(株)の(株)ローソンに対する株式公開買い付けが終了して、子会社化が実現した。その公開買付けは、前年の2016年12月22日に開始し、翌2017年2月9日に終了。三菱商事の出資比率は33.4%から50.1%になって、やはり過半数を持つ完全子会社となった。株式取得金額は1440億円だった。

高柳浩二伊藤忠副社長がユニー・ファミマホールディングス社長に就任したのは、その直後のことだ。高柳氏は、1975年、早稲田大学理工学部を卒業して、伊藤忠商事に入社、2005年に執行役員、2008年に常務取締役、2015年に副社長に就任。食料事業部を統括していた。今回のユニー・ファミマの子会社化で、食料カンパニーは伊藤忠内でさらに大きな発言力を持つことになる。

伊藤忠側は、ITと金融を結びつける「フィンテック」や人工知能(AI)などの先端技術を用いて、ファミリーマートの顧客データを十二分に活用すると発表している。

しかし2016年9月に、ユニーグループとファミリーマートが統合して、今夏で丸2年が経過する。今回の子会社化はその統合の密度を一挙に高め、さらにドン・キホーテとの資本・業務提携に対しても、伊藤忠の発言力を高める狙いがあると見る。

三菱商事のローソン子会社化以上に、この伊藤忠のユニー・ファミマ子会社化は、成果を上げるだろう。完全な経営統合は通常、10年かかる。それが伊藤忠の子会社となることで、一気に進むという効果を見込めるからだ。

それにしてもユニーの存在感はますます薄れていく。

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