7月の百貨店売上高はクリアランス開始を遅らせて4カ月連続で3.4%増

日本百貨店協会から平成27年7月の全国百貨店売上高概況が発表された。
先月と変わらず82社238店。

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7月の全国百貨店売上高は5612億0965万円。

7月は上旬天候不順が続いたが、中旬以降の天候回復やクリアランス開始の変更などにより、4カ月連続のプラス。前年同月比3.4%増となった。

地区別では、
東京は、1473億5372万円、プラス7.2%(4カ月連続)
大阪は、743億5352万円、プラス6.2%(4カ月連続)
名古屋は、371億2374万円、プラス6.2%(2カ月ぶり)
大都市を中心に売上げを伸ばし、18地区のうち12地区が前年を上回った。

商品別でプラスとなったのは、
衣料品1773億6739万円、プラス2.8%(2カ月ぶり)
身のまわり品728億1905万円、プラス8.5%(4カ月連続)
雑貨846億2609万円 、プラス15.6%(4カ月連続)
雑貨が前月に続き二桁のプラスを維持し、好調である。

また衣料品が2カ月ぶりのプラスとなった。
その要因はセール時期の見直し及び、気温上昇による盛夏物などのプロパー商材が動いたためである。
細分類をみても紳士服プラス1.7%、婦人服プラス2.6%、子供服は二桁の10.3%、
その他の衣料品もプラス1.2%と揃ってプラスとなった。

一方、マイナスとなったのは、
家庭用品246億6306万円、マイナス3.0%(4カ月ぶり)
食料品1707億1779万円、マイナス1.0%(2カ月連続)

細分類ではやはり、化粧品がプラス18.4%
美術・宝飾・貴金属がプラス22.3%と相変わらず好調である。

訪日外国人客の売上げは、中華圏、ASEANからの来店客を中心に購買客数が185.1%のプラス。売上高も248.7%増となり、本年4月に続き単月で過去2番目の実績となった。

JNTO(日本政府観光局)によると、7月の訪日外客数は前年同月比51.0%増の191万8000人で、7月として過去最高だった2014年を上回った。そして2015年4月の176万5000人をも上回り、年間を通じて単月としても過去最高を記録した。

増加要因としては、
 ①夏の旅行シーズンに向けた訪日プロモーション効果
 ②航空路線の拡大
 ③クルーズ船の大幅な寄港増加
 ④ボーイスカウトの世界大会の開催
 ⑤査証免除や要件緩和
 ⑥昨年10月からの消費税免税制度の拡充による買い物需要の拡大
などがあげられているが、⑥などはまさに百貨店の好調の大きな要因である。

7月のプラスの要因は、お中元商戦や盛夏物商材があげられるが、なんといってもクリアランス開始の変更が大きかった。百貨店のクリアランス開始時期を調べてみると以下のとおり。
   三越伊勢丹 7月15日~      高島屋 7月8日~
   大丸・松坂屋 7月8日~    西武・そごう 7月1日~
   阪急百貨店  7月8日~    京王百貨店 7月1日~

三越伊勢丹が15日に夏のクリアランスセールを開始すると、伊勢丹新宿本店には開店前に約7000人の顧客が並び、開店時刻は15分早められた。バーゲンセール品と正価品を組み合わせて、ほぼ1週間でセールを切り上げる方式。各社とも、昨年7月のセールに失敗して、「短期集中型」にし、なおかつ正価品の比重を高めた。伊勢丹新宿本店はセール期間に、従来型廉価品ではなく、売れ筋商品とそれよりも高品質、高価格商品に転換して、「脱ディスカウント」を志向した。

それがインバウンド消費とも相まって、奏功した。逆転の発想が、7月の百貨店の売上げ増の理由である。この発想は他業態の秋の商戦にも活かされてくる。

 
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