【2015年家計調査報告】家計消費マイナス2.3%で2年連続減少

総務省統計局は2月16日に、2015年の家計調査報告(家計収支編)」の平均速報結果の概況が発表された。

1.家計収支の概要(二人以上の世帯)

【二人以上の世帯の家計消費】
2015年の二人以上の世帯(平均世帯人員3.02人、世帯主の平均年齢58.8歳)の消費支出は、1世帯当たり1カ月平均28万7373円。これは前年に比べ名目1.3%の減少、実質では2.3%の減少となり、2年連続マイナス。名目とは、そのままの値であり、実質とは、物価変動の影響を除いた値のこと。

図1は消費支出増減率の推移。
東日本大震災の起きた2011年の減少のあと、2012年、2013年と増加した。しかし、2014年は消費税増税と天候不順の影響を受け、実質2.9%の減少となった。そして2015年は、減少幅が多少縮小したものの、消費税増税の影響が残り、名目・実質ともに減少。

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消費支出増減率を10大費目別にみたのが図2
光熱・水道費以外はすべてマイナス。とくに教養娯楽、交通・通信、被服及び履物、その他の消費支出が突出して減少している。

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また財・サービス区分別消費支出を、年度別、および2015年を四半期別にみたのが図3である。
財・サービス支出計とは消費支出全体から、こづかい、贈与金、「他の交際費」及び仕送り金を除いたもの。

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1~3月期
は、耐久財、半耐久財、非耐久財及びサービスのすべての区分で実質減少となった。これは2014年4月の消費税率の引上げに伴う駆け込み需要の反動によるもの。

4~6月期は、前年同期が駆け込み需要の反動で減少していたこともあり、保存可能な食料品、家事用消耗品を含む非耐久財などの財への支出が実質増加となった。

7~9月期は、サービスが6期ぶりの実質増加となり大幅にアップした。秋の大型連休の影響もあり、国内パック旅行費及び外食が好調に推移したことによる。

10~12月期は、11月及び12月の気温が全国的に高かった影響で、季節商品への支出が減少となり、冬物衣料を含む半耐久財や、またサービスへの支出が実質減少となった。


【二人以上の世帯のうち勤労者世帯の家計収支】

支 出
消費支出は、前年に比べ名目1.1%の減少となり、実質2.1%の減少となった。

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消費支出の四半期ごとの推移「物価」「可処分所得」「平均消費性向」の要因別にみたのが図5

「可処分所得」とは、課税前の家計収入から、支出が義務付けられている税金と社会保険料を差し引いた残りの所得で自由に使える手取り収入のこと。「平均消費性向」とは、所得のうち消費に回す割合のことをいう。

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1~3月期は、実質6.6%の減少。
4~6月期は、実質2.2%の増加。
7~9月期は、実質0.7%の増加。
10~12月期は、実質3.9%の減少。
消費支出に影響を及ぼす要因は期ごとに異なるが、10~12月はすべてがマイナス要因となった。

収 入
二人以上の世帯のうち勤労者世帯の実収入は、前年に比べ名目1.1%の増加、実質でも0.1%の増加となった。

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2.世帯属性別の家計収支(二人以上の世帯)

 

【世帯主の年齢階級別(勤労者世帯)】

収 入
二人以上の世帯のうち勤労者世帯の可処分所得の対前年実質増減率を世帯主の年齢階級別にみると図7となる。

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40歳未満の世帯で実質2.4%の増加。
40~49歳の世帯で実質0.5%の増加。
50~59歳の世帯で実質1.0%の減少。
60歳以上の世帯で実質1.8%の減少 。
高齢になればなるほど、可処分所得が前年よりも減っているのがわかる。

支 出
二人以上の世帯のうち勤労者世帯の消費支出の対前年実質増減率を表したのが図8

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60歳以上の世帯で実質4.3%の減少
50~59歳の世帯で実質2.4%の減少
40~49歳の世帯で実質2.2%の減少
40歳未満の世帯で実質0.5%の減少となり、すべての階級で実質減少となった。

可処分所得が減少している高齢者世帯で消費支出減っているのは当然だろうが、可処分所得が増加している若い世代でも消費支出は減少となっている。

【高齢夫婦無職世帯】

収 入
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上,妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)の実収入は21万3379円、可処分所得は18万1537円。

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支 出

一方、消費支出は24万3864円となり、可処分所得よりも6万2326円多くなった。この不足分は金融資産の取り崩しなどで賄われているとみられる。

3.総世帯及び単身世帯の家計収支

総世帯の消費支出は24万7126円で、前年に比べ名目1.7%の減少、実質2.7%の減少となり2年連続マイナスとなった。また単身世帯の消費支出は16万0057円で、前年に比べ名目1.2%の減少となり、実質2.2%の減少となった。

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4.最近の家計消費の特徴(二人以上の世帯)

食料品

生鮮野菜の支出金額の実質増減率を四半期別にみると、すべてにおいて前対比で減少している。
とくに4~6月期は、日照時間不足などによる価格上昇の影響を受け前対比実質 4.3%の減少。
また10~12 月期は、局地的な豪雨による価格上昇の影響などもあり、前対比実質 3.9%の減少。

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 耐久財
パーソナルコンピュータの支出金額の実質増減率を四半期別にみると10~12 月期まで6期連続の減少となった。その要因は、消費税率引上げに伴う駆け込み需要の反動及び、2014 年4月の Windows XP のサポート終了に伴う買い替え需要の反動である。

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その他の財
洋服の支出金額の実質減率を四半期別にみると、
1~3月期は、消費税率引き上げに伴う駆け込み需要の反動もあり、前対比実質7.7%の減少。
7~9月期は、実施2.9%の増加。
10~12月期は、気温が高めに推移するなどの天候要因が大きく影響し実施12.3%の減少。

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サービス
外国パック旅行費の支出金額の実質増減率を四半期別にみると、4四半期すべて前対比実質減少となった。これは、米ドル/円の為替レートが2015 年6月に 2002 年以来、約 13 年ぶりの円安水準を記録するなど、前年に比べ円安基調で推移した要因によるもの。

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2015年を全体的にみると、収入は、働き盛りの世代は多少増えたが、高齢になればなるほど減少している。しかしすべての世代において消費支出は減少している。2014年の消費税増税後、消費者の倹約志向は引き続いているとみていいだろう。

 

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