トライアルnews|「オープンサイエンスプラットフォーム」に参画
(株)トライアルホールディングス(福岡県福岡市、亀田晃一社長)は九州大学(福岡市西区、石橋達朗総長)の「オープンサイエンスプラットフォーム」に参画する。傘下の(株)トライアルカンパニー(福岡市東区、石橋亮太社長)が運営するディスカウントストア「トライアル」の購買データと九州大学病院のビッグデータを活用した病気の「超早期発見や予防」など、ヘルステック分野での産学連携の取り組みを開始する。
オープンサイエンスプラットフォーム(OSP)は「ふくおか産学共創コンソーシアム」に参画する9社の企業と自治体、九州大学の研究者や学生が、九州大学病院のビックデータや各企業が保有するデータを共有し、それらのデータに基づいたアイデアからイノベーションを創出する仕組みだ。今後最大のマーケットとなることが予想されるヘルステック市場において、さまざまな企業の技術を価値に転換することを目的として2020年に開始され、2021年4月にトライアルHDが新規参画した。OSPは、イノベーション創出手法として認知されているデザイン思考法を用いながら、その問題点であるアイデアの確実性をデジタルトランスフォーメーション(DX)によって担保する初めての試みだ。
トライアルHDが九州大学に提供するのは「トライアル」で購入された商品データと、購入者の性・年代データ(個人を特定し得ないデータ)である。これらのデータを医学的視点から分析し、属性ごとの生活習慣の推測や、健康上のリスク測定などを行うことで、病気の「超早期発見」や「健康寿命延伸」など新たな価値創造を図る。これまで民間企業の購買データをヘルステック開発に活用した事例はなく、今回の取り組みは世界初と言える。
トライアルグループと九州大学は2018年から連携しており、トライアルHD取締役 兼 (株)Retail AI(東京都港区、永⽥洋幸社長)代表の永田洋幸氏などが、小売りリアルデータを用いた分析授業を同大工学部で行っている。また、福岡県宮若市での「リモートワークタウンムスブ宮若プロジェクト」(産官学による“新しいまちづくり”)でも両者は協働している。
Retail AIは、スマートショッピングカート(セルフレジ機能付きタブレットを搭載したショッピングカート)やリテールAIカメラ(小売業に特化したAIエンジン搭載カメラ)など小売店舗向けのIoT機器を開発し、それらを「トライアル」のみならず他企業が運営する複数のスーパーマーケットに納入している。