H2Onews|19年3月期9269億円0.5%増・開発投資かさみ経常利益11.9%減
エイチ・ツー・オーリテイリング(株)(大阪市北区、鈴木篤社長)が2019年3月期の本決算を発表した。
売上高は9268億7200万円(前年比0.5%増)、営業利益は204億2200万円(10.3%減)、経常利益は213億7600万円(11.9%減)、純利益は21億6200万円(85.2%減)で微増収大減益だ。
営業利益率は2.2%、経常利益率は2.3%。
阪急本店をはじめとする都心型店舗が好調に推移した百貨店事業や、前年度の第1・第2四半期に実績のなかった神戸・高槻事業が寄与したことによって売上高は伸長した。しかし、不動産事業で再開発を進めたこと、百貨店事業で阪神梅田本店を建て替えたこと、食品事業が苦戦したことなどによって、営業利益、経常利益ともに減益となった。
セグメント別に見ていく。
⑴百貨店事業
百貨店事業の売上高は4518億4000万円の1.3%増収、営業利益は175億8200万円の2.4%減益。大阪府北部地震や相次ぐ大型台風の上陸など自然災害による影響を受けたが、国内需要・インバウンド需要が牽引した阪急本店の売上高が前年比で104.3%と伸長したことよって、売上高は前年度に対して56億円の増加となった。しかし、2018年6月に阪神梅田本店の建て替え第I期棟がオープンし、減価償却費などが増加した結果、営業利益は前年度に対して4億円の減益となった。
⑵神戸・高槻事業
神戸・高槻事業の売上高は427億6700万円、営業利益は3億0100万円。2017年10月1日付けでセブン&アイ・ホールディングスから事業承継したそごう神戸店および西武高槻店は、屋号やサービスを変更することなく運営したが、ほぼ想定通りの結果となった。2019年10月1日付けで対象店舗の事業を(株)阪急阪神百貨店へ移管し、同日付けで屋号をそごう神戸店から「神戸阪急」、西武高槻店から「高槻阪急」へと変更する予定だ。
⑶食品事業
食品事業の売上高は3675億8000万円で4.9%減、営業損失は4億3800万円で赤字。イズミヤ(株)が売上高前年比93.7%の2182億7800万円、営業利益は12億2600万円の営業損失。店舗建て替えに伴う費用が先行していることに加えて、GMS既存店が集客に苦戦した。(株)阪急オアシスは、売上高前年比96.4%の1125億9200万円、営業利益は前年度に対して75.6%減の4億5500万円の減益。前年度から進めている不採算店舗の閉店などによって売上げが減少したうえ、生鮮品の相場安や暖冬の影響によって既存店が伸び悩んだ。
⑷不動産事業
不動産事業の売上高は87億3600万円で15.7%減、営業利益は42億8100万円で14.1%減。千里中央地区の商業施設・セルシーの信託受益者である合同会社サントルにおいて、再開発に伴うテナントの空き区画が大幅に増加したことなどによって、減収減益となった。
⑸その他事業
その他事業の売上高は559億4800万円で1.1%増、営業利益は50億3000万円で62.4%増。子会社からの配当金が増加したエイチ・ツー・オーリテイリング(株)や、前年度に制度変更に伴う費用発生のあった(株)阪急阪神百貨店友の会などが増益となった。
2020年通期の売上高は9473億円(前年度比102.2%)、営業利益は184億円(90.1%)を見込む。