H2Onews|年商7392億円17.6%減・経常損失29億円/コロナが響く
エイチ・ツー・オー リテイリング(株)(大阪市北区、荒木直也社長)が2021年3月期の本決算を発表した。
2020年4月1日~2021年3月31日の連結業績は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う二度の緊急事態宣言の発令や外出自粛によって、百貨店事業を中心として大きな影響を受け、売上高は前期比82.4%の7391億9800万円だった。
売上高の減少に伴う粗利益の低下によって、営業損失は44億3800万円(前期は営業利益111億7100万円)、経常損失は29億0700万円(前期は経常利益118億3100万円)となった。
休業者の人件費に対する雇用調整助成金等の助成金収入26億8300万円などを特別利益に計上する一方で、減損損失147億7100万円、新型コロナウイルス感染症による損失53億5300万円など特別損失を合計241億7200万円計上したことによって、当期純損失は247億9100万円(前期は131億5000万円の純損失)となった。
百貨店事業の売上高は3477億6800万円(前期比73.5%)、営業損失19億0300万円(前期は営業利益114億8600万円)の赤字決算となった。
2020年4月に発令された緊急事態宣言およびそれに伴う行政の要請によって、一部店舗の完全休業、阪急・阪神の両本店を含む店舗における食料品売場のみへの縮小営業を実施した。5月下旬からは全店での営業を再開した。
第2四半期以降は、新型コロナウイルス新規感染者数の状況を考慮しつつ、順次、営業時間の変更や催事・販促施策を再開した。新規感染者数が減少傾向にあった時期には、基調回復の兆しが見えたものの、7月の「第2波」、12月の「第 波」とそれに続く緊急事態宣言など、度々の感染再拡大と外出自粛の影響からオフィスへの通勤者やシニア層、ファミリー層の来店が減少し、都心店の入店客数は低水準にとどまった。一方、自宅から近距離に立地し、食品の構成比が高い郊外店は比較的堅調に推移した。
食品事業全体は売上高2811億1600万円(79.4%)だったが、営業利益41億7000万円(前期は25億0300万円の営業損失)と大幅増益となった。
惣菜やベーカリーを製造する製造子会社は、卸先の休業や即食需要の落ち込みの影響を受けて減収減益となったものの、新型コロナウイルス感染症の拡大・外出自粛に伴う内食需要の高まりを受けて、イズミヤ(株)、(株)阪急オアシスなどの既存店の売上高は順調に推移した。またイズミヤの非食品事業分割による再編効果も加わって、食品スーパーマーケット3社の営業利益は前期に対して79億3200万円の大幅増益となった。
従来のイズミヤは2020年4月1日付で3社に分割されており、前期の食品事業には衣料品・住居関連品販売を含む総合スーパーを運営する旧・イズミヤの実績が含まれ、当期の食品事業は、食品スーパーのみを運営する新・イズミヤの実績が対象となっている。
2022年3月期の連結業績予想は、新型コロナウイルス感染再拡大による影響を、現段階において合理的に算定することが困難であり、時期尚早でもあると判断し、未定としている。