J.フロントnews|第3Q営業収益7094億円15.1%増・営利201億円/増収増益

J.フロントリテイング(株)(東京都中央区、好本達也社長)が2023年2月期第2四半期の決算を発表した。2022年3月1日~11月30日の業績は、総額売上高7094億6800万円(前年同期比15.1%増)、売上収益2569億4100万円(8.2%増)、事業利益206億5900万円(132.6%増)、営業利益201億円(356.1%増)、税引前利益184億2600万円(786.3%増)となった。

中期経営計画の2年目となる2022年度は、中期経営計画で掲げるコロナ禍からの「完全復活」への足場を固めつつ、2024年度以降の「再成長」に向け、攻めの経営に転じる「ギア・チェンジ」の年度と位置づけている。

そのための3つの重点戦略を掲げている。

第1に「リアル×デジタル戦略」として、中核事業の百貨店事業では、大丸・松坂屋アプリを活用した顧客コミュニケーションの進化とともに、リアル店舗を基軸としたコスメのメディアコマースを開始し、店舗特性に応じたリアル店舗の改装を推進した。また、SC事業では重点戦略にもとづく大型改装計画において、池袋PARCO、名古屋PARCOなど基幹店を中心に大規模改装を推進した。

第2の「デベロッパー戦略」では、保有不動産の最大活用と不動産ポートフォリオの拡大に向け、名古屋栄地区、大阪心斎橋地区におけるエリア最大級の複合施設開発計画の推進に加え、福岡天神エリアにおいて街づくりの貢献を目指し、地域や他社連携による検討を進める。また、デベロッパー事業の成長実現に向け、持株会社直下に「J.フロント都市開発(株)」を設置し、現在、(株)パルコが運営するデベロッパー事業を同社に承継。これらにより、グループ全体の視点から迅速な意思決定を行う体制の構築と経営管理やリスクマネジメントによるガバナンス強化を進める。

3つ目の重点戦略「プライムライフ戦略」では、堅調な富裕層マーケットに対応するため、主に百貨店事業において、基幹店を中心に主力カテゴリーの充実やデジタルを活用した顧客獲得など外商顧客基盤の拡大に取り組み、国内外の富裕層マーケットに向けた新規施策を立案、推進する。

百貨店事業の業績は、3月下旬からの行動制限の解除以降、順調に客数の回復基調が続き、売上収益1519億3800万円(前年同期比14.5%増)、営業利益65億0900万円(前年同期は営業損失28億0900万円)と黒字に転換した。

アプリを通じた顧客のタッチポイントのデジタル化の取り組みを推進した。従来の購買履歴に加え、閲覧ログなどのオンライン上での顧客データを分析することで、より深い顧客理解につなげている。また大丸松坂屋オンラインストアではスマートフォンでの利用を意識したサイトデザインへの変更や顧客ニーズに沿った検索機能を設けるなど顧客利便性を強化した。

また、リアル店舗や販売サービス力など百貨店の強みを活かしたコスメのメディアコマース「DEPACO(デパコ)」をスタートさせた。

SC事業の業績は、売上収益400億5700万円(前年同期比1.8%増)、営業利益68億5800万円(前年同期比226%増)。前期の店舗休業等による反動や3月下旬以降の各エリアでの人流回復に加え、基幹店を中心とした戦略改装や新規のプロモーション効果などにより、入店客数、テナント取扱高は改善が進んだ。

営業利益は、売上収益の改善に加え、前期に計上した(株)ヌーヴ・エイ株式譲渡に伴う損失の反動、エンタテインメント事業における補助金受入れ等により、前年実績に対し増益となった。

池袋PARCOでは駅直結部となるグランドフロア改編やエリアとの親和性の高いコンテンツの拡充、名古屋PARCOでは西館グランドフロアをメインにジェンダーレス、エイジレスをキーワードとした大規模改装など、マーケットに対する店舗イメージを一新させた。

これらの改装効果や話題性ある各店におけるPOPUPショップの拡大展開等とあわせ、「リアル×デジタル戦略」の一環として、PARCOポイント会員とオンラインストア会員のID統合により、店舗とオンラインストアのシームレスな買物体験を提供する「PARCOメンバーズ」を開始した。

デベロッパー事業の業績は、売上収益400億5300万円(前年同期比4.2%増)、営業利益25億4900万円(前年同期比17.9%減)。売上収益は(株)パルコスペースシステムズにおけるグループ内外工事や施設管理業務が増加したものの、営業利益は減益となった。

決済・金融事業の業績は、売上収益97億0900万円(前年同期比22.4%増)、営業利益29億4000万円(前年同期比150.9%増)。

売上収益は年会費改定による増収効果に加え、百貨店事業及び外部加盟店での取扱高や保険代理店手数料の増加などにより大幅な増収となった。事業利益、営業利益は人件費やアクワイアリング業務の拡大等に伴う費用が増加したものの、売上収益増により増益となった。

事業基盤の拡大に向け、百貨店事業との協業によるカード会員の拡大と利用促進に加え、独自のポイントサービス「QIRAポイント」の差別化、認知度向上に向け、会員向けのイベント実施など特別な顧客体験の提供に取り組んだ。

また、リボ・分割の利用促進によるファイナンス債権残高の拡大とともに、加盟店事業では百貨店事業における加盟店契約の集約に加え、グループ商業施設へのアクワイアリング導入に向けた取り組みを推進した。

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