イオンnews|第2Q営業収益4.7兆円/収益・利益とも過去最高更新

イオン(株)(千葉県千葉市、吉田昭夫社長)が2024年2月期第2四半期の決算を発表した。

2023年3月1日~8月31日の業績は、営業収益4兆7113億3500万円(前年同期比5.0%増)、営業利益1176億2300万円(前年同期より217億4600万円の増益)、経常利益1119億0600万円(前年同期より165億8500万円の増益)で、過去最高を更新した。四半期純利益は233億1800万円(前年同期より52億7900万円の増益)だった。



GMS事業
GMS事業は、営業収益1兆6710億7400万円(前年同期比104.5%)、営業利益36億1500万円(前年同期より73億6900万円の増益)となった。

イオンリテール(株)は、「荒利益額の最大化」「ショッピングセンター収益改善」「デジタル売上拡大」を実行しながら、さまざまなコスト上昇に耐えうる経営基盤を構築すべく「収益構造改革」を加速している。

衣料では、夏休みのレジャーや旅行需要に応えて、浴衣や水着などを売り込みながら、販売時期と価格を個別に見極めた在庫コントロールによる商品回転率の改善を進めている。大型店では、売場の改善に加え、生産性向上による接客へのシフトなど働き方も含めた新しいモデルを導入し、荒利益率の改善を進めている。

食品では、トップバリュやデリカで付加価値を高める商品リニューアルを実施した。成長領域である冷凍食品は、専門店「@FROZEN」の出店と既存売場拡大を行ったことにより、食品全体で既存店売上高は対前年同期比で103.4%と伸長した。

H&BC(ヘルス&ビューティーケア)では、脱マスク・外出需要の増加により化粧品が売上げを牽引した結果、既存店売上高は対前年同期比104.0%と伸長した。

ショッピングセンターでは、集客策、空床の削減、テナントの一時利用の拡大などに注力してコロナ下で減少した客数を回復させ、テナントからの家賃収入を改善させた。

デジタル事業では、ネットスーパーの規模拡大に向けての新規展開、ピックアップ拠点の拡大、GMSの強みを活かした品揃えの拡充に取り組んだ。また、イオンスタイルオンラインの規模拡大、広告収入ビジネスの強化を図った。さらに、ウエルネス関連のグループ各社や取引先とのネットワークを活かしたシニアケア事業「MySCUE(マイスキュー)」を開始した。

ウエルネス関連のグループ各社や取引先とのネットワークを活かしたシニアケア事業「MySCUE(マイスキュー)」を開始した。

イオン北海道(株)では、「商品と店舗の付加価値向上」「収益構造の改革」「地域との連携」などに取り組むなかで、1店舗の新規出店と7店舗の大型活性化を行った。

オリジナル商品約360品目の開発・リニューアルを実施し、トップバリュの売上高は対前年同期比113.1%となった。

食品のほか、衣料・住居余暇でも観測史上最高の猛暑や季節行事の再開に対応し、トラベル用品や化粧品の売上げも好調に推移した。

デジタルの活用については、AEON Pay機能の充実やクーポン企画の強化によりiAEONの会員数は上期で約1.4倍となり、ネットスーパーの売上高は拠点新設により対前年同期比105.9%と伸長した。「フードドライブ」の取り組みを27店舗に導入し、子ども食堂などへの社会貢献に関連する商品企画や寄付を実施するなど地域との連携を進めた。

イオン九州(株)では、5月に「私たちの『たからもの』九州をもっと―」をパーパスとして制定し、特定した6つのマテリアリティ(重要課題)とともに同社のWebサイトで公表した。

中期経営計画に掲げた「食の強化」「非食品分野の専門化」「DX推進」「環境・地域社会への貢献」の取り組みを推進し、単体における第2四半期累計期間の業績は営業収益、各段階利益とも過去最高を更新した。

6月から「イオン九州アプリ」をiAEONに移行し、8月末の会員数は約43万人と5月末対比で約27万人増加した。8月にネットショッピング限定セール「ビッグバザール」を初実施した効果もあり、第2四半期累計期間における「イオン九州オンライン」売上高は対前年同期比151%と伸長した。

SM事業・DS事業
SM事業は営業収益1兆3538億2400万円(対前年同期比103.4%)、営業利益164億8400万円(前年同期より79億3900万円の増益)。

DS事業は営業収益2004億9400万円(対前年同期比104.8%)、営業利益42億4900万円(前年同期より33億6900万円の増益)。

ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(株)は、商品と店舗変革による店舗収益の拡大、OMO(Online Merges with Offline)による店舗外収益の拡大、保有する知的財産を活用したビジネス領域の拡大を柱とする3カ年の中期経営計画に今年度から着手した。

9月からは、同社グループの共同物流センター「U.S.M.H 八千代グロサリーセンター(千葉県八千代市)」から商品供給を開始して、店舗運営を最適化する持続的な物流体制を目指す。顧客の利便性を向上すべく、EC決済機能やフルセルフレジなどへの投資や省力化につながる設備投資にも注力している。

同社連結子会社の(株)マルエツでは「オンラインデリバリー」の取り扱いを41店舗、「Uber Eats」を利用したサービスを108店舗に拡大した。(株)カスミでは、7月に顧客の個別の志向やニーズに合わせて特典を提供するプリペイド機能付きポイントカード「Scan&Goカード」を導入した。マックスバリュ関東(株)では、行政と協業して買物困難地域において移動スーパーを開始するなど、事業各社ごとに地域の特性やニーズに合わせた取り組みを進めている。

(株)フジの連結子会社の(株)フジ・リテイリングでは、愛媛県と広島県を重点エリアとして出店計画を進め、大型店を中心にコロナ下で中止していたイベントを再開するなど、売場活性化にも取り組んでいる。食品では、トップバリュを9月に本格導入するに当たって、6月に一部商品の販売を開始した。さらなる事業の拡大に取り組む移動スーパーは、合計46店舗を拠点に81台243ルートでサービスを提供している。同じく連結子会社のマックスバリュ西日本(株)は、「地域密着」「生鮮強化」を軸にサプライチェーン改革を行い、兵庫県西部、岡山市、広島市、山口県、香川県、山陰エリアを中心とする出店と既存店を活性化し、移動スーパーやECをはじめとするノンストア事業の確立に向けた取り組みを進めている。商品では、地元素材を使用して開発した弁当や加工品を「バイヤー三ツ星」として全店に展開し、夕刻以降の出来立て惣菜の拡充に注力した。専用端末でスキャンしながら買い回りできる「マイピレジ」導入店舗の拡大やiAEONの活用など、デジタルによる生産性向上も図っている。

マックスバリュ東海(株)では、生産者を応援し地域に親しまれる「じもの」商品の品揃えの拡充や、食事バランスを考慮した商品の開発を行って健康的な食生活の提案に努めた。また、フランスの冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」の商品を名古屋市内の2店舗に導入するなど、成長カテゴリー商品の販売を強化した。累計201店舗でキャッシュレスセルフレジの導入が完了し、レジ精算の利便性向上やレジ関連業務の削減に努めた。顧客接点の創出として、「Uber Eats」を利用した商品配達サービスの拠点を合計43拠点まで拡大した。

ヘルス&ウエルネス事業
ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益6137億9500万円(対前年同期比108.6%)、営業利益242億6000万円(前年同期より6億8400万円の増益)。

ウエルシアホールディングス(株)と同社連結子会社においては、マスクや抗原検査キットなどのコロナ対策関連商品やPCR等検査事業に対する需要が減少したが、各国の行動規制緩和を受けたインバウンド需要には回復の兆しも見られる。物販部門においては外出需要の増加を背景にボディケアや化粧品の需要が増加し、既存店売上高は堅調に推移し、調剤部門においては、調剤併設店舗数の増加(8月末時点で2070店舗)により、処方箋受付枚数が増加した。

2023年3月にWAON POINTサービスを全国の店舗に導入開始し、集客施策を強化した。販売費及び一般管理費については、燃料価格の高騰を受けて水道光熱費が大幅に増加したが、店舗のエネルギー消費低減に向けた取り組みや、自動発注の推進による店舗業務の効率化により、経費適正化に努めた。地域住民の生活に寄り添うべく、熱中症対策を目的にクーリングシェルターや避難場所を「ウエルカフェ」などに設置し、「夏の涼み処」として開放した。

総合金融事業
総合金融事業は、営業収益2376億5700万円(対前年同期比106.4%)、営業利益216億2200万円(前年同期より108億0200万円の減益)。

ディベロッパー事業
ディベロッパー事業は、営業収益2332億4300万円(対前年同期比107.8%)、営業利益250億8700万円(前年同期より20億6400万円の増益)。

サービス・専門店事業
サービス・専門店事業は、営業収益4018億7800万円(対前年同期比106.6%)、営業利益116億円(前年同期より56億6300万円の増益)。

国際事業(連結対象期間は主として1月から9月)
国際事業は、営業収益2547億2900万円(対前年同期比103.8%)、営業利益58億1800円(前年同期より15億1700万円の減益)。

イオンマレーシア(AEON CO.(M)BHD.)は、ラマダン明けの祝祭に対応した集客施策に注力し、必需品を中心に価格訴求して顧客の生活視点に合わせた対応を進めている。1月以降は改正雇用法に伴う人件費の増加が不可避であることを受けて、セルフチェックアウト端末の稼働率向上や売上上位店舗での追加設置など、デジタルを活用した生産性の向上に注力している。

ECでは、品揃えと指定時間内の配送率を常に改善し、ポストコロナの消費者行動に対応した結果、ネットスーパー「myAEON2go」の売上高は対前年同期比で約3割増加した。

イオンベトナム(AEON VIETNAM CO.,LTD.)では、市場の不況により消費者が労働時間の短縮や雇用調整の影響を直接受けているなか、上期の売上げは増収を確保できた。食品やH&BCの生活必需品の好調は変わらず、下期は7月からの付加価値税率引き下げの景気浮揚策の効果が見込まれる。

中国においては、不動産不況や輸出入低調といった困難な環境にあるものの、ゼロコロナ政策の解除により客数が回復し、衣料品の売上げが増加傾向にある。イオン湖北(AEON (HUBEI) CO.,LTD.)は売上高、営業利益ともに好調を維持している。ECでは、実店舗への人流が回復し、一時的に市場が縮小しているが、自社が運営する永旺APP(イオンアプリ)を強化しており、今年度は前年度と同水準の売上確保を目指す。

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