ユニーファミマニュース|統合後売上高8950億円・増収増益で「何とか乗り切った」
注目のユニー・ファミリーマートホールディングス(株)〈髙柳浩二社長執行役員〉の連結決算が発表された。
昨2016年9月1日、(株)ファミリーマートとユニーグループ・ホールディングス(株)が経営統合したあとの連結決算だからである。
営業総収入は8949億9400万円(前連結会計年度比109.3%増)。これで何とか日本小売業ランキングで10位に滑り込んだか。
営業利益は560億4700万円(同15.0%増)、経常利益は593億3600万円(同14.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は190億0700万円(同9.8%減)。
なお、重要なことだが、この連結業績は、旧(株)ファミリーマートの第2四半期までの連結業績と経営統合後のユニー・ファミリーマートホールディングス(株)の第3四半期以降の連結業績を合算したもの。したがって、旧ユニーグループ・ホールディングスの第1・第2四半期の業績は除かれている。
マジックのような決算だが、この営業利益率は6.26%、経常利益率は6.63%で日本の小売業としては極めて優良である。
昨2016年2月期の決算を見ておこう。
ユニーグループ・ホールディングスは、売上高1兆387億3300万円(前年同期比1.9%増)、営業利益223億6700万円(10.5%増)、経常利益216億5700万円(5.7%増)、当期損失28億7300万円(前期は24億800万円の当期損失)だった。営業利益率2.15%、経常利益率2.08%。
一方、ファミリーマートは売上高4276億7600万円(前年同期比14.2%増)、営業利益487億3400万円(20.6%増)、経常利益518億8800万円(22.0%増)、当期利益210億6700万円(17.9%減)だった。こちらは営業利益率11.40%、経常利益率12.13%。
統合後のホールディングカンパニーは旧ファミリーマートが、ユニーグループ・ホールディングスを吸収合併する形で2016年9月1日に発足した持株会社だが、その理由もこの利益率を比較すると納得できる。
2017年度のスローガンは「原点回帰」で、5つの原点が位置づけられている。
①商品
②52週マーチャンダイジング
③品揃え
④売場環境
⑤従業員のおもてなし
さらに「個店経営」と「店舗の魅力」が経営方針として掲げられている。
2018年2月期は、国際財務報告基準(IFRS)に基づいて作成し、その連結業績見通しは、営業収益1兆2373億円、営業利益412億円、税引前利益409億円、親会社の所有者に帰属する当期利益240億円としている。
ちなみにこの決算では営業利益率は3.33%となる。このIFRSの営業利益は、営業総利益から販売費及び一般管理費、持分法投資損益、その他収益及び費用を加減算した金額を表示しており、日本基準上の金額とは異なる。
さて、2017年2月期の決算は2つの事業体ごとに説明されている。
第1がコンビニエンスストア事業、第2が総合小売業事業。
まずコンビニエンスストア事業は、営業総収入4858億1400万円(前連結会計年度比13.6%増)、セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は93億8400万円(同55.5%減)となって、激減。
昨年9月以降、ファミリーマートブランドとサークルK・サンクスブランドの中食商品をはじめとする商品の統合を順次進め、2017年2月末をもってファミリーマートブランドへの商品統合が完了。
さらに昨年9月から、廃棄ロスや水道光熱費の一部の助成や店舗運営支援金の支給等を採り入れた新たなフランチャイズ契約パッケージを導入し、やはり今年2月末現在約9000店で、契約の切り替えを終えた。
傘下に入れたココストアブランドのファミリーマートブランドへの転換も、2016年度中に259店、累計364店で実施された。
肝心のサークルK・サンクスブランドのファミリーマートブランドへの転換は、昨2016年9月1日に「ファミリーマート晴海センタービル店」、「ファミリーマート昭和塩付通一丁目店」及び「ファミリーマート大阪ビジネスパーク店」の3店を同時開店し、以降順調に転換を進めて、今年2月末現在では計画を上回る合計829店で実施された。国内のエリアフランチャイザーは、ココストアブランドのファミリーマートブランドへの転換により、株式会社沖縄ファミリーマートが300店、株式会社南九州ファミリーマートが400店を超えた。
2月末段階の国内店舗数は1万8125店(国内エリアフランチャイザー5社計1124店を含む)となった。海外店舗数は、台湾、タイ、中国、ベトナム、インドネシア、フィリピン及びマレーシアの7カ国で6375店となり、国内外合わせた全店舗数は2万4500店となった。
海外は好調、国内はブランド統合。これが次の課題だろう。
一方の総合小売事業セグメントが問題だ。営業総収入は4105億6400万円。こちらは激減。セグメント利益(親会社株主に帰属する当期純利益)は90億2800万円となった。前期は当期損失28億7300万円だったから、利益面は大幅改善が見られたが、そのフォーマット戦略はいまだ確定していない。
ユニーの店舗開発は、昨年9月にアピタ金沢文庫店を全面建替えし、リニューアルオープンした。また、既存店投資拡大による店舗活性化の一環として昨年10月に、中型アピタの改装モデル「アピタ大府店」の直営売場を全面改装。最新流行型の食品売り場をつくり、惣菜・スイーツの導入など図った。衣料・住居関連売場は「ライフスタイル提案・五十貨店化」を進めて、品揃えを拡大した。
しかし、会計年度は前年同期比0.9%減。内訳は衣料2.0%減、住居関連0.5%減、食品0.2%増と、問題解決の先は見えない。
ユニーの店舗数は、開店1店舗、閉店7店舗によって、210店舗。
株式会社UCSのカード事業、融資、電子マネー、保険リース事業などは、イオン、セブン&アイ・ホールディングスに後れを取っている。
しかし、「何とか乗り切った」というのが現在の経営状態だが、同じマジックを二度使うことはできない。
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