イオンnews|100円ショップ第3位「キャンドゥ」株式を公開買い付け
イオン(株)(千葉市美浜区、吉田昭夫社長)は10月14日(木)、(株)キャンドゥ(東京都新宿区、城戸一弥社長)の普通株式を公開買付け(TOB)で取得すると発表した。
キャンドゥの筆頭株主である城戸一弥代表取締役社長の所有株式数は311万株、所有割合は19.48%である。城戸一弥社長の実母であり、第3位株主である城戸恵子氏は所有株式数162万7300株、10.19%である。イオンは両者との間で、それぞれ公開買付け応募契約書を締結した。城戸一弥氏が所有する株式のうち151万3700 株(所有割合9.48%)と城戸恵子氏が所有する全株式の、合計314万1000 株(所有割合19.68%)については、第1回公開買付けに応募する旨で合意している。
〈キャンドゥホームページより〉
その第1回公開買い付け期間は10月15日から11月24日までとしている。
また第1回公開買い付け後、第2位株主である(株)ケイコーポレーション(所有株式数220万5600 株、所有割合13.82%)が所有する株式については、第2回公開買い付けを行う予定だ。
買い付け価格に関しては、第1回公開買付けは普通株式1株につき2700円、第2回公開買付けにおける買付け等の予定価格は普通株式1株につき2300円としている。
イオンはTOB後もキャンドゥの東京証券取引所市場第一部への上場を維持し、城戸一弥氏を代表取締役社長とする予定だ。
100円均一ショップはアメリカでは古くはバラエティストア、現在はダラーストアと呼ばれる確立された業態である。日本でもショッピングセンターはもとより、スーパーマーケット、ドラッグストア、ホームセンターなどへの出店が増加している。イオングループの商業施設でも、必要不可欠な業態となっている。キャンドゥ自体の出店においても、直営店による路面店出店やフランチャイズによる地方出店、委託販売型など、小型から大型までさまざまな戦略や形態がある。
イオンでは、リアル店舗における業態のさらなる進化を考える上で、「均一価格雑貨販売業態」との組み合わせは親和性が非常に高く、ラインロビングによる客数増を伴うシナジー効果が創出しやすく、キャンドゥにさまざまな形態の出店機会を提供することが可能である、としている。また、食品だけでなくノンフーズも含めてワンストップでの買物を望む顧客の声に応えすることができ、顧客のさらなる利便性向上と館全体の魅力度や客数向上につながると考えている。
キャンドゥの出店拡大によって、業績の向上やコスト削減が見込めるなど、相乗効果も期待できる。イオンでは店舗のデジタル化を強力に推進することに加え、リアルの店舗への送客効果が期待できると考えている。キャンドゥの出店拡大による館全体へのシナジーの創出だけではなく、両社のオンラインショップにおいても協業が可能であり、今後の成長ポテンシャルが極めて大きいとみている。
キャンドゥの2020年11月期決算は売上高730億3400万円(前年同期比2.4%増)、営業利益15億5800万円(30.6%増)、経常利益16億4300万円(26.4%増)、当期純利益4億4000万円(35.2%増)だった。コロナ対応の衛生用品や消耗品の特需が発生して売上げ・利益とも増大したが、営業利益率2.1%、経常利益率2.2%。
【結城義晴の述懐】
キャンドゥは日本のバラエティストアで第3位の売上げと店舗数である。第1位が(株)大創産業のダイソー(矢野靖二社長)、第2位の(株)セリア(河合映治社長) 。第4位は(株)ワッツ(平岡史生社長)。その第3位の企業をイオンが傘下に収める。
イオンとしては実に的確なM&Aである。イオンモールやイオンタウンなどのショッピングセンター事業にバラエティストアは不可欠となっている。その業態を傘下に収めることのメリットは計り知れない。
アメリカでは断トツのマーケットリーダーだったダラーゼネラルに対して、第2位のファミリーダラーと第3位のダラーツリーが経営統合して、鼎占から複占へと業態内の地殻変動が起こった。第3位が第2位を飲み込む劇的な経営統合だった。「コロナは時間を早める」によって、日本でも同じ傾向は加速している。
キャンドゥでは2011年2月、創業者の城戸博司氏が61歳で急逝して、現社長にバトンタッチした。その意味で、経営陣のケイパビリティが総体的に低下した。その後、10年が経過し、さらに直近の経営状況を見れば、この判断も間違いではないだろう。
イオンとのシナジー効果は確かにあるだろう。100円商品の開発はイオンのマーチャンダイジングに対してこそ、いい効果を発揮するかもしれない。