5月外食統計|全体売上げは前年同月比120.4%も19年比では95.4%
一般社団法人日本フードサービス協会(東京都港区、近藤正樹会長)が5月の外食産業市場動向調査を発表した。調査企業数は前月より9社増えて237社、店舗数は250店増えて3万6985店舗。ファストフードは前月から164店増えて、2万1456店舗で全体の58.0%を占める。
5月の全体売上は120.4%と前年を大幅に上回ったが、コロナ禍前の19年比では95.4%。今年はGWが3年ぶりに行動制限のない大型連休となり、家族客を中心に客足が回復した。しかし飲酒業態などを中心に夜間の客足の戻りは鈍く、さらに人手不足が売上回復の足かせになっている。特に「パブ・居酒屋」は苦戦が続いている。
ファストフード業態の全体売上げは105.7%(19年比:108.2%、以下同)。FF洋風を中心に広がったデリバリーや注文のデジタル化など、利便性への支持は衰えず、業態の全体売上を支えている。ただしコロナ前の19年比で108.2%という結果は、FF洋風の好調に支えられたもので、そのほかの業種では苦戦しているところが少なくない。
「洋風」は、期間限定商品の好調に加え、コロナ前からの多様な施策の展開により、基本商品の売上は着実に伸び、売上101.8%。19年比でも126.2%とコロナ前を大幅に上回った。「和風」は、昨年の価格改定による単価上昇や新商品の好調もあり、売上げ107.9%。「麺類」は、酒類提供制限の緩和や、商業施設での販売回復で、売上げ122.9%。「持ち帰り米飯/回転寿司」は、「持ち帰り米飯」で反動減が見られたものの、「回転寿司」は連休の家族客を中心に集客好調で、売上102.0%。「その他」は、「カレー」は店内売上の回復、「アイスクリーム」は商業施設での回復が顕著で、売上108.9%となった。
ファミリーレストラン業態の全体売上げは、前年比136.7%。19年比では86.1%と戻りは鈍い。家族客が回復したが、夜間の集客はまだ取り戻せていない。
「洋風」は売上129.1%、19年比では77.9%。「和風」は売上げ146.7%、19年比では83.2%。いずれも19年比では8割前後にとどまる。一方「中華」は、引き続き持ち帰りが堅調のうえ、店内飲食の回復も著しく、売上げ127.0%、19年比では107.2%。「焼き肉」は、連休の集客が好調で売上げ159.6%、19年比では104.1%。「中華」と「焼肉」はともに19年比でも100%を超えた。
「パブ・居酒屋」は、売上げ468.9%と大きく伸びたように見えるが、19年比では売上げ54.7%。コロナで大打撃を受けた飲酒業態は、“法人需要”と“夜間の客足”が戻らず、回復に頭打ち感も出ている。他業態と比べると回復に大きな差が出ている。「パブ・ビアホール」の売上げは576.6%だが、19年比では61.1%。「居酒屋」の売上げも428.4%、19年比52.0%に終わった。
ディナーレストラン業態は、売上げが200.1%。今年はディナー時間帯に営業でき、連休中の個人客の集客が好調、またコロナ禍で取り組んだテイクアウト弁当等も売上を支えた。一方で、夜間の客足回復に課題が残り、19年比では89.2%となっている。
喫茶業態は、商業施設立地や駅ビル等で客足が戻り、売上げは131.4%。しかしオフィス街立地では日中の戻りが十分でなく、19年比では81.7%となった。