内閣府「消費者動向調査」の消費者態度指数・意識指数の意味と7月以降の消費動向の読み
内閣府から「2014年7月の消費者動向調査」が発表された。
消費産業や小売りサービス業にかかわる企業にとって必須のデータ。
毎月調査され、発表されるので、会社組織の中でどこかの部署が必ずまとめて、社内報告する仕組みを作っておくとよい。もちろん、報告のためだけの報告では意味はないが。
この調査は、消費者の今後の暮らし向きの見通しなどについて、消費者自身に回答してもらう。
それが特徴だ。
消費者の意識、各種サービス等への支出予定、主要耐久消費財等の保有状況を把握することで、景気動向判断の基礎資料とする。
対象は、全国の世帯のうち、外国人・学生・施設等入居世帯を除く約5061万世帯。
この5061万世帯から8400世帯を抽出するサンプル調査だ。
2人以上の一般世帯と1人の単身世帯ごとに三段抽出して、8400世帯を選ぶ。
三段抽出は、第1に市町村段階、第2に調査単位区段階、そして第3に世帯段階。
これによってサンプル調査の精度と客観性を高める。
調査世帯は、15カ月継続して調査する。
つまり全調査世帯を15のグループに分け、グループごとに15カ月後に別の世帯に交替する。
個々のグループは調査世帯全体の15分の1の約560世帯。
毎月1グループずつ調査世帯を替えて調査を開始する。
調査事項は、
①消費者の意識(今後の暮らし向きの見通しなど)
②物価の見通し
③世帯の状況
この3項目が毎月の調査内容。
それ以外に、
④自己啓発、趣味、レジャー、サービス等の支出予定(6、9、12月及び3月)
⑤主要耐久消費財等の保有・買替え状況(3月のみ)
ここから消費者態度指数を導き出すが、それは4つの消費者意識指数によって構成されている。
①「暮らし向き」
②「収入の増え方」
③「雇用環境」
④「耐久消費財の買い時判断」
今後半年間にどう変化するのかを、消費者に5段階評価で回答してもらう。
良くなる(1点)、やや良くなる(0.75点)、変わらない(0.5点)、やや悪くなる(0.25点)、そして悪くなる(0点)。
この点数を加重平均して指数にするが、50が指数の善し悪しの判断目安となっている。
調査の実際は、毎月1回10日前後に調査対象世帯に調査票が届く。
毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。調査時点は15日とする。
ただし、回収率を高めるために、1カ月目の最初の調査世帯には、調査員が訪問して調査票を配布及び回収する。2カ月目以降は調査票を郵送し、再返送してもらって回収する。
調査の実施は民間事業者に委託する。2014、2015年度は、一般社団法人新情報センター。
この調査結果は、内閣府の月例経済報告、経済財政白書、地域の経済、それから経済産業省の 「ものづくり白書」、厚生労働省の「労働経済の分析」に活用されている。
今回の7月調査の基準日は2014年7月15日とされた。
有効回答数は5583世帯で66.5%。
そのうち一般世帯4094世帯の71.7%、単身世帯は1489世帯の55.4%。
さて、7月の調査結果が以下の表になった。
消費者の意識(一般世帯、季節調整値)では費者態度指数が、41.5だった。
前月差0.4ポイントの上昇。(第1表参照)
グラフにすると以下のようになる。
一方、一般世帯の1年後の物価に関する消費者の見通しは、第2表参照。
①「上昇する(2%以上~5%未満)」(40.0%)
②「上昇する(5%以上)」(25.5%)
「低下する」が0.3ポイント、「変わらない」が1.5ポイント、それぞれ減少した。
消費者態度指数と意識指数は3カ月連続で回復基調だが、一方、家計調査の6月の消費支出は物価変動の影響を除いた実質ベースで、前年同月比3.0%マイナス。
まだまだ消費増税後の危機感を持つ必要があるだろう。
常に「最悪を覚悟して、最善を尽くす」。
変化の激しい時には、この姿勢を崩してはいけない。
〈結城義晴〉
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