3月の食品スーパー11カ月ぶり既存店前年割れ・総合スーパー12カ月連続減

一昨日の百貨店・コンビニエンスストアの3月度販売統計をお伝えした。
本日は、総合スーパーとスーパーマーケットの3月結果を速報する。

 総合スーパー

21日に発表された日本チェーンストア協会の3月の販売統計。
加盟企業には総合スーパーが多く名を連ねるため、この「チェーンストア販売概況」を総合スーパーの動向として読み解く。加盟企業数は60社、店舗数9390店。

総販売額は1兆0978億5331万円。
既存店ベースでは前年比91.4%、つまりマイナス8.6%。
12カ月連続のマイナスとなった。

食料品が7028億6519万円、マイナス2.9%。
衣料品が1059億8030万円、マイナス13.3%。
住関連が2198億0917万円、マイナス19.2%。
サービス33億7128万円、マイナス10.8%。
その他658億2737万円、マイナス16.7%。
ズラリとマイナスが続く。

部門別で見ると、食料品は、畜産品、惣菜などは好調に推移したが、
その他食品が消費増税前特需の反動で苦戦。
農産品 プラス2.1%
畜産品 プラス4.1%
水産品 プラス1.8%
惣菜  プラス8.1%
その他食品 マイナス8.1%

好調だった商品は以下の通り。
農産品は、ブロッコリー、なす、ほうれん草、トマト、カット野菜。
果物ではパイナップル、カットフルーツ。
畜産品は、牛肉、豚肉、鶏肉。
水産品は、刺身の盛り合わせ、マグロ、カツオ、アジ、イカなどの近海魚。
惣菜は、温惣菜は揚げ物、焼き鳥、中華。
要冷惣菜は、和惣菜、洋惣菜、米飯、寿司。
ほかに、アイスクリーム、食用油、インストアベーカリーも好調。 

衣料品は昨年の駆け込み需要のあった商品群。全般的に苦戦。
紳士衣料 マイナス16.9%
婦人衣料 マイナス12.4%
その他の衣料 マイナス12.5%

紳士衣料で好調だったのは、ドレスシャツ、長袖ポロシャツ、シニア向けジャケット。
婦人衣料は、トップス、パンツ・スカート。
その他衣料・洋品は、子供服、子供用キャラクター関連衣料、子供靴、紳士装飾。

住関連品は絶不調。なかでも買い替え頻度の少ない家電は大幅ダウン。
日用雑貨品  マイナス17.3%
医薬・化粧品 マイナス19.9%
家具・インテリア  マイナス18.4%
家電製品     マイナス24.8%
その他商品  マイナス21.8%

日用雑貨品で好調だったのは、ランチボックス、ボトル、レジャー用品などの新年度に必要となるものだった。

総販売額は前年同月比では、12カ月連続のマイナス。相変わらず厳しい結果となった。
しかし、4月後半から始まるゴールデンウイークにあわせて、売場強化に努めたい。
レジャー用品、衣料品、食料品などに期待がかかる。

スーパーマーケット

スーパーマーケットの販売統計調査は、3つの団体による合同調査。日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、そして新日本スーパーマーケット協会。今回の発表担当はオール日本スーパーマーケット協会の松本光雄専務理事。

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パネル企業285社、総店舗数7386店を集計。

3月の販売実績は以下となった。
総売上高が8327億4868万円で、うち、既存店による売上高は8064億5638万円。
前年同月比は全店ベースでマイナス2.8%、既存店では4.4%減少。

詳細に見ていくと、
食品合計が7311億4639万円で既存店昨対マイナス2.7%、
生鮮3部門の合計は2788億9040万円でプラス2.4%。
そのうち青果が1119億3213万円でプラス1.2%、
水産が771億5354万円でプラス2.4%、
そして畜産が898億0472万円でプラス4.0%。
惣菜も変わらず好調で785億2954万円のプラス4.4%。

しかし日配は1525億9131万円でマイナス1.2%、
一般食品は2211億3515万円、マイナス11.2%。
非食品に至っては675億0973万円でマイナス17.6%まで落ち込んだ。
一般食品、加工食品、非食品に特需の反動が色濃く反映した。

好調のスーパーマーケットも駆け込み需要の反動には勝てなかった。
「昨年5月から、かろうじてではあるが、毎月前年クリアしてきた。しかしここにきて、11カ月ぶりの既存店前年割れとなった。生鮮品や惣菜の売上げが他部門のマイナスをカバーしている。生鮮品の相場高の影響ももちろんあるが、企業努力によるところも大きいだろう」

では増税反動の影響のない、2013年3月の売上高と比較してみると、どうだろう。
「既存店比較はできないので、全店ベースでの数字になるが、合計では106%、生鮮3品は 112%、そして一般食品が103%となっている。一昨年より経済が好転している証拠か」

 増税した2014年4月から2015年3月までの年度集計。
「総売上高は残念ながら既存店99.9%とわずかに0.1%及ばず。しかしほぼ前年並み。駆け込み需要の影響が大きかった一般食品と非食品が足を引っ張った」

最後に今後の課題について。
「この一年間、生鮮の相場高が不振の加工食品や雑貨をかなりカバーしてきた。しかし相場高も1年、あるいはそれ以上経過している。これからは相場高に依存した売上げ維持ではなく、加工食品や雑貨を含めたトータルでいかに全店クリアできるかが大きな課題である」

 


3月の小売業態別販売統計のまとめ。

百貨店が既存店昨対マイナス19.7%。
総合スーパーはマイナス8.6%。
スーパーマーケットでもマイナス4.4%。
そして減少幅の最も少なかったコンビニがマイナス2.8%。

やはり、「昨年の増税前の駆け込み需要による反動」、この一言に尽きる。すべての業態で前年割れとなり、マイナス幅も他の月より大きかった。そして来月は消費税が引き上げられ、一時的に消費が落ち込んだ2014年4月から、ちょうど一年。どれくらい消費が回復しているのか。非常に楽しみではあるが、消費増税の駆け込み需要の反動もものともせず、伸び続けた企業もある。マイナス要因が大きく響いた企業や店と、マイナス要因を打ち破った企業や店がある。その落差が大きくなりつつあるというのが、今回の消費増税後遺症の特徴だろう。

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