外食産業の5月は3カ月ぶり前年比100.8%、レストラン好調・ファストフード不調

外食産業は食品小売業の水先案内人。小売業だけでなく食品産業全体の先導役を担う。

一般社団法人日本フードサービス協会(JF)から、
5月度の外食産業市場動向調査の集計結果が報告された。
新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計し、前年同月比を算出している。

全体概況

5月は3カ月ぶり、全体売上高が100.8%と前年を上回った。
その要因は外的なことだが、二つある。
第1は、今年の5月は、ゴールデンウィーク(GW)を含む土日休日数が前年より多かったこと。
第2は、そのGW中も好天に恵まれ全国的に気温が高かったこと。

下記の表をみると、東京都は雨が少なく、大阪府は多かったことが分かる。日本中好天に恵まれたかといえば、そうでもないが、平均気温は確実に高かった。

 gwtenki

ファミリーレストラン、ディナーレストランを中心に客数、売上げが好調に推移したが、
一方でファストフードは、洋風の低迷が影響し、6カ月連続して前年を下回った。
 

業態別概況

(ファストフード業態)
全体売上高は97.0%と前年を下回った。
洋風――キャンペーンが奏功し好調となったところもあったが、異物混入問題の影響が引き続き残り、売上げは89.1%と大きくマイナスとなった。
和風――客数は厳しいものの客単価は上昇し、売上げは104.6%となった。その中で麺類やアイスクリームが好調だったが、持ち帰り米飯・回転寿司は、前年を下回った。
 
(ファミリーレストラン業態)
全体売上高は106.6%と、25カ月連続して前年を上回った。
客数103.1%、客単価103.4%と引き続き好調。しかし業種別では「中華」で客数が不調。
 
(パブ・居酒屋業態)
「パブ・ビアホール」は気温が高い日が多かったことなどから好調だが、「居酒屋」の店舗数が減少している影響もあり、客数は92.5%、売上げは92.7%とマイナスとなった。
 
(ディナーレストラン業態)
出店効果で客数がプラスとなったことに加え、客単価は103.6%と引き続き好調で、売上げは108.3%と前年を上回った。
 
(喫茶業態)
GWの影響から土日休日が多い5月はビジネス街立地の店では客数99.5%とマイナスとなった。しかし、季節メニュー等で客単価が103.0%と上昇し、売上げは102.5%と前年を上回った。

japanfood_201505_01

japanfood_201505_02
(表はすべて(一社)日本フードサービス協会・外食産業市場動向調査 平成27年5月度結果報告より)

5月の外食産業はやはりGWの影響が大きかった。GWは1年の中で家族が揃う数少ないイベントである。友人やカップルなどの外食機会も増える。旅行や遠出をしなくても、安近短のニーズとしても、ファミリーレストラン、ディナーレストランなどの客数が増えた。そして、5月といえば、もう一つ母の日がある。お母さんへのプレゼントとして、この日は外食するという家族も多かったはずだ。

GWの外食へのフォローウィンドは、ファストフードにも影響するはずだが、こちらはマクドナルドの異物混入問題なども大きな影を落とした。しかし、アイスクリームなどの夏物商材は好調だった。

ビジネス街立地の喫茶店も、休日の日数の多さでGWに影響を受けた。コンビニの淹れたてコーヒーが定着し、売上げを伸ばしているが、座ってゆっくりできる外食産業の喫茶業態は、これからの季節、さまざまな仕掛けをしてくるはずだ。

そしてなんといってもこの季節から夏まではパブ・居酒屋業態のビアホール。5月も気温が高かったため、好調だった。居酒屋は、吉野家の「吉呑み」などファストフードのちょい呑みフォーマットの登場で、ますます苦しくなる。

外食産業の業態間競争の激しさは、まさに小売業の水先案内人だ。小売業では長らく業態間には競争が起こらないとされた。社会的機能が違うからだ、というのがその理由。しかしコンビニとスーパーマーケット、さらにドラッグストアはいまや激しく競争する。外食もファミレスとファストフード、そしてファストフードと居酒屋も、激しく競争している。安ければいいという志向は激減し、より美味しいものを求める。まずいものは、絶対に許されない。

それは食品産業全体の鉄則である。

検索キーワード : 外食  気温  GW  季節メニュー  吉呑み

関連カテゴリー

統計 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧