8月の百貨店は前半猛暑・後半気温低下で売上高2.7%増、そして「早仕掛け」

日本百貨店協会から平成27年8月の全国百貨店売上高概況が発表された。
先月と変わらず82社238店。今年の猛暑を、百貨店はどう乗り切ったのか。

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上旬は、気温が高く各地で猛暑日が続いたため、盛夏物が好調。
中旬以降は、前線や台風の影響で気温が低下し、秋冬物がリード役。

季節変化のはっきりした天候条件に上手く反応し、8月の全国百貨店売上高は総額で4362億5234万円。前年同月比2.7%増と5カ月連続のプラスとなった。

地区別では、10都市で好調なのは
東京は、1119億3493万円、プラス6.1%(5カ月連続)
京都は、183億4981万円、プラス5.9%(3カ月ぶり)
大阪は、569億8664万円、プラス5.3%(5カ月連続)
神戸は、119億4562万円、プラス4.7%(2カ月連続)
名古屋は、271億3618万円、プラス3.7%(2カ月連続)
都市名を見ると、やはり8月は夏休みの影響で観光客の収益が多かったと予想される。10大都市の中でマイナスだったのは、仙台だけだった。
10都市以外でプラスだったのは、中国(1.6%)、九州(1.5%)、四国(0.4%)の三カ所で、あとはマイナスと伸び悩んだ。

商品別でプラスとなったのは、
身のまわり品580億3823万円、プラス5.5%(5カ月連続)
雑貨782億6840万円 、プラス15.6%(5カ月連続)
特に雑貨は二ケタ増と相変わらず強く、細分類では、化粧品がプラス21.2%、美術・宝飾・貴金属がプラス22.8%と好調である。

大型百貨店を訪れると1階のメインフロアに化粧品売り場がある。そして1階壁面沿いに、ブランドショップが並ぶ。そんな主力商品群が好調だったということだ。

一方マイナスとなったのは、
家庭用品210億9321万円、マイナス1.6%(2カ月連続)
食料品1243億3466万円、マイナス1.1%(3カ月連続)
こちらは総合スーパーや食品スーパーの得意分野。だから業態としての特性が、互いに鮮明になりつつある。しかし、マイナスではあったが、小幅減に留まり、健闘した。

また衣料品1240億8403万円、±0.0%となり、前年並みを確保した。
細分類では、紳士服(+0.7%)子供服(+3.1%)その他衣料品(+0.7)はプラスを計上したが、婦人服がマイナス0.7%だった。

訪日外国人客の売上げは、購買客数が293%のプラス。売上高も259.6%増となり、統計以来単月で過去3番目の実績(約172億円)となった。夏季休暇のため、家族層が多かった。

JNTO(日本政府観光局)によると、8月の訪日外客数は前年同月比63.8%増の181万7000人で、これまで8月として過去最高だった2014年の111万人を70万8000人上回った。
増加要因は、
 ・夏休み・バカンスシーズンに向けた訪日旅行プロモーションが需要を喚起
 ・航空路線の拡大
 ・クルーズ船の寄港増加
 ・中東呼吸器症候群(MERS)による韓国からの旅行控えの解消
近年の査証免除や要件緩和、円安と昨年10月からの消費税免税制度の拡充による買い物需要の拡大とあいまって、数値を大きく伸ばす要因となった。

迎える9月にもアジア各国の連休・休日が目白押し。
 ・韓国での秋夕(旧盆休暇)による連休(9/26~9/29)
 ・マレーシアのスクールホリデー(9/19~9/27)と祝日(9/16、9/24)
 ・インドの祝日(9/5、9/25)に伴う3 連休
 ・ベトナムの国慶記念日(9/2)

また日本でもシルバーウイークがあって、大型連休となる。カレンダーの良い巡り合わせは6年ぶりで、次は11年後だとか。このチャンスを逃してはならないし、逃してはいないはず。

大手百貨店グループの8月の売上高をみてみると、先月に引き続き、どの企業もプラスである。
・㈱三越伊勢丹ホールディングス  2.8%プラス  
  雑貨が22.9%と二ケタの伸び。身のまわり品6.8%と続く。
・J.フロント リテイリング㈱   5.7%プラス  
  雑貨が27.1%と大幅な伸び。また衣料品が5.3%、と猛暑により盛夏物が売れ、健闘した。
  その次に身のまわり品3.7%プラス。
・㈱髙島屋(単体13店舗) 3.5%プラス  
   雑貨が20.0% 身のまわり品が10.1%と好調。
・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱  3.4%プラス  
  先月に引き続き雑貨が好調で、同社はなんと40.0%のプラス。
  その他でプラスは身のまわり品の2.6%。

どの百貨店も雑貨と身のまわり品の好調がプラスに大きく影響している。
たびたび出てくる、その分類をもう一度確認してみよう。

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日本人にも、そして特に訪日外国人客にも上記の品目に魅力があるようだ。衣食住に直接関係のない、非日常品が売上げを伸ばしている今、アイデア次第ではお客の購買欲をかきたてるチャンスはたくさんある。

そして、猛暑がやっとおさまったと思ったら、早くも「おせち料理」商戦の始まり。まさに「早仕掛け」である。ほとんどの百貨店が9月下旬~10月初めに予約を開始するが、その前の報道陣への公開やお披露目会などが盛んに行われている。そして各社9月下旬~10月初めから予約開始するなか、大丸はなんと8月17日より既に予約を開始した。また高島屋では恒例のお試しおせちの販売もスタートした。少量で3000円前後のお試しおせちを試食してみて、実際に購入するときの目安にする。届いてみないとわからないという通販の問題や心配をなくす人気のシステムだ。

百貨店の早仕掛け。他の業態はどう動く?

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