9月の商業動態統計速報、ドラッグストアとコンビニは引き続き好調を維持!

平成27年9月分の商業動態統計速報が、経済産業省から発表された。
既に各業態ごとの協会から9月の結果が報告されているが、それに続いての発表である。ちなみに確報は11月の中旬ごろ再び公表される。取り急ぎこの速報にて9月の動向を確認してみよう。

商業販売額(税込み)は38兆4700億円で前年同月比マイナス2.2%であった。
しかし、その季節調整済前年同月比はプラス0.7%となり、5カ月連続上昇となった。

1.卸売業販売額の動向

販売額は、27兆2420億円、(前年同月比マイナス3.0%)。
季節調整済み前年同月比も、マイナス0.7%。

業種別で前年同月比でプラスとなったのは、以下のとおり。
食料・飲料 10.2%、医薬品・化粧品 5.6%、農畜産物・水産物1.9%、
家具・建具・じゅう器0.7%、衣服・身の回り品0.1%。

一方減少したのは、鉱物・金属材料▲12.8%、化学製品▲7.6%、その他▲7.0%
機械器具▲5.1%、建築材料▲3.9%、各種商品▲3.5%、繊維品▲2.8%だった。

大規模卸売店販売額は9兆3507億円となり、前年同月比マイナス6.5%となった。

商品別にみるとプラスになったのは、その他輸送用機械器具が36.8%、
医薬品・化粧品18.9%、紙・紙製品が8.3%。

一方マイナスは、鉱物▲37.6%、一般機械器具▲26.8%、石油・石炭▲26.7%、
農畜産物・水産物▲15.6%、鉄鋼▲11.2%だった。

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 (表はすべて経済産業省の「商業販売額の動向」より)

2.小売業販売額の動向

販売額は、11兆2280億円、(前年同月比マイナス0.2%)。
季節調整済みでは0.7%プラス。

業種別で前年同月比で増加となったのは以下のとおり。
織物・衣服・身の回り品4.7%、飲食料品3.4%、医薬品・化粧品3.0%、その他2.4%、
各種商品小売業(百貨店)1.0%。

一方、減少したのは燃料▲15.4%、機械器具▲2.1%、自動車▲0.1%の3項目だった。

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3.百貨店・スーパー販売額の動向

販売額は、1兆5114億円(前年同月比プラス2.6%)。季節調整費はプラス0.4%となった。
既存店では1.7%のプラス。

(百貨店)
百貨店は4941億円(前年同月比プラス1.1%)。
季節調整済0.2%増。既存店は1.9%プラス。

主力商品である衣料品は、全体でマイナス1.4%。
詳細をみるとその他の衣料品▲6.7%、婦人・子供服・洋品▲3.9%、紳士服・洋品▲0.3%
とマイナスが続き、唯一、身の回り品だけがプラス3.7%だった。

飲食料品はプラスの1.1%であった。

その他は、全体でプラス5.7%。
詳細をみると、その他の商品8.4%、家具5.4%プラスと好調であったが、
家庭用電気機械器具▲7.1%、家庭用品▲2.1%、食堂・喫茶▲1.4%がマイナスであった。

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日本百貨店協会から発表された9月の全国百貨店売上高は総額で4463億8471万円。前年同月比1.8%プラスと6カ月連続増となった。雨の日が多く、前半天候に左右され客数に影響のでた9月であったが、シルバーウイークは一転、好天に恵まれたためプラスとなった。

(スーパー)
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーである。
販売額は1兆0173億円(前年同月比プラス3.4%)。
季節調整済では0.7%の上昇。既存店は1.6%プラスであった。

衣料品全体では前年同月比プラス0.2%。
商品別でプラスとなったのは、身の回り品5.9%、紳士服・洋品は0.0%と横ばい。
その他の衣料▲5.4%、婦人・子供服・洋品が▲1.1%の減少となった。

そして、「スーパー」の主力商品である飲食料品は4.0%プラスと好調であった。

また、その他は全体では前年同月比プラス2.3%。
商品別では、家庭用電気機械器具プラス19.7%と大きな伸び。
また家具もプラス5.9%、その他の商品も2.2%の増加となった。
マイナスは、食堂・喫茶▲17.5%、家庭用品▲2.1%。

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10月21日には日本チェーンストア協会より「チェーンストア販売統計(9月度速報)」が発表された。調査対象は会員企業58社の9330店。それによると、9月の総販売額は1兆0380億9647万円で、既存店前年同月比はプラス2.9%。既存店で6カ月連続プラスと報告されている。

4.コンビニエンスストアの動向

商品販売額及びサービス売上高は9189億円(前年同月比プラス5.1%)。
内訳は商品販売額が8704億円(プラス4.5%)、サービス売上高は486億円(プラス16.9%)となり、二桁の伸びである。コンビニのサービスはどんどん進化し、広がる。セブン-イレブンを筆頭に、次々に仕掛けてくる。そして、その効果が確実に出ている。

商品別にみると、
ファストフード及び日配食品は3458億円(プラス6.9%)
加工食品は2440億円(プラス5.4%)。
非食品は2806億円(プラス1.0%)と、プラスが並んだ。

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10 月20日、日本フランチャイズチェーン協会より発表された、9月度の「コンビニエンスストア統計調査月報」によると、既存店売上高は7794億0200万円で昨対プラス1.3%と6カ月連続でプラス。全店ベースも好調で、8511億3800万円でプラス4.9%だったと報告された。

5.家電大型専門店販売額の動向

販売額は、3111億円(前年同月比マイナス0.6%)。
商品別でプラスとなったのは、生活家電7.8%、その他6.0%、AV家電2.0%。
一方、通信家電▲18.9%、情報家電▲7.4%、カメラ類▲7.2%となり全体でマイナスを計上した。

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6.ドラッグストアの販売額の動向

販売額は、4236億円(前年同月比プラス6.0%)。
商品別では、ビューティケア(化粧品・小物)9.7%、健康食品8.5%、
食品8.3%、ヘルスケア用品(衛星用品)・介護・ベビー5.4%、OTC医薬品5.3%
その他4.0%、トイレタリー3.8%、家庭用品・日用消耗品・ペット用品3.5%、調剤医薬品0.7%。
ビューティケアを筆頭に満遍なく全てプラスとなり、好調を維持している。

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7.ホームセンターの販売額の動向

販売額は、2577億円(前年同月比プラス2.2%)。
商品別でプラスとなったのは、DIY用具・素材5.5%、ペット・ペット用品5.1%、電気5.0%、
家庭用品・日用品4.1%、インテリア0.8%、オフィス・カルチャー0.5%の増加となった。
マイナスはその他で▲4.6%、カー用品・アウトドア▲1.5%、園芸・エクステリア▲0.8%。

今月マイナスだった園芸・エクステリア(8月はプラス9.1%)とカー用品・アウトドア(8月はプラス7.4%)は夏休みに売上げが上昇する項目なので9月は息切れした感がある。

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9月の統計調査の結果は、卸売業▲3.0 %、小売業▲0.2%。
小売業の業態別の結果は、百貨店1.1%、スーパー3.4%、コンビニ5.1%、
家電大型専門店▲0.6%、ドラッグストア6.0%、ホームセンター2.2%。

この中でドラッグストアとコンビニエンストアは先月に引き続き、商品別実績が全てプラスを計上した。特にドラッグストアの伸びは大きくビューティケア(化粧品・小物)9.7%、健康食品8.5%、食品8.3%とプラスの数字も大きい。

日本政府観光局(JNTO)が発表した9月の訪日外客数は、前年同月比46.7%増の161万2,000人で、これまで9月として過去最高だった2014年の109万9,000人を51万3,000人も上回った。また、今年の累計は1,448万人に達し、年計として過去最高だった2014年の1,341万人をすでに超えている。9月までの累計では、韓国(285万6,000人)、フィリピン(18万6,000千人)、ベトナム(13万9,000人)が、それぞれ2014年の年計を上回り、これで今年の累計により、昨年の年計を超えた市場は、中国(7月)、香港(8月)を含め、5市場となった。

ドラッグストアの好調商品をみてみると、このアジアの訪日外客数の影響が大きいことに結びつく。10月も中国の国慶節(10/1-10/7)、フィリピンの学校休暇(10/26-10/30)、また韓国ではハングルの日に伴う3連休(10/9-10/11)と期間中の休暇取得が奨励される秋季観光週間(10/19-11/1)があり、アジアの訪日外国人客がどっと押し寄せるに違いない。また、日本では紅葉シーズンが本格的になるこの時期、それを目的にした訪日外国人客数が各業態にも流れ、広がるであろう。

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