総合スーパー・食品スーパーの10月販売実績は7カ月連続既存店昨対超え

10月の小売業態別販売統計調査が出そろっている。百貨店、コンビニにつづき、今日は総合スーパーと食品スーパーの動向を速報。

総合スーパー

統計データは日本チェーンストア協会発表の「チェーンストア販売統計月報」。チェーンストア協会加盟企業には総合スーパー業態を運営する、ウォルマート傘下の西友を除く全企業が数多く加盟している。そして同協会の過半をこの総合スーパー業態が占めている。したがって、この統計が総合スーパーの販売トレンドを示していると判断できる。

10月のチェーンストア総販売額は1兆0712億0651万円で、既存店前年同月比はプラス2.8%。今年の5月以降、7カ月連続で昨対をクリアしている。

部門別の結果は以下。
食料品 (売上構成比64.4%) 6894億4918万円、プラス3.5%
 農産品(9.5%) 1017億2362万円、プラス8.1%
 畜産品(7.6%) 816億7424万円、プラス2.3%
 水産品(5.8%) 621億3081万円、プラス2.1%
 惣菜(7.6%)   813億8173万円、プラス6.7%
 その他食品(33.8%) 3625億3878万円、プラス2.2%
衣料品(9.3%)  998億9430万円、プラス4.5%
 紳士衣料(1.9%) 202億3127万円、プラス4.0%
 婦人衣料(2.8%) 299億7500万円、プラス3.3%
 その他の衣料・洋品(4.6%) 496億8803万円、プラス5.5%
住関品(20.1%) 2154億2168万円、プラス1.8%
 日用雑貨品(8.4%) 904億4232、プラス2.1%
 医薬・化粧品(2.9%) 314億0180、マイナス1.0%
 家具・インテリア(4.7%) 498億7773万円、プラス5.0%
 家電製品(1.2%) 125億6122万円、プラス7.5%
 その他商品(2.9%) 311億3861万円、マイナス2.7%
サービス(0.3%) 32億9959万円、マイナス1.7%
その他(5.9%) 631億4176万円、マイナス3.3%

第1に、青果の相場高が作用し、農産品の前年比は大幅増だとこと、第2に10月前半の気温低下に伴い、衣料品や住関品の季節関連商品が好調に推移したことが、全体のプラスに寄与した。

スーパーマーケット

さて、次はスーパーマーケットの販売実績。日本スーパーマーケット協会、オール日本スーパーマーケット協会、新日本スーパーマーケット協会、3協会の合同調査発表。今月の発表担当は新日本スーパーマーケット協会で、副会長の増井徳太郎さんがコメント。

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10月の総売上高は8507億4730万円で、既存店前年同月比プラス2.0%だった。総合スーパー同様、既存店昨対は7カ月連続でプラスとなった。

 食品合計(売上構成比89.2%) 7586億9240万円、プラス2.2%
  生鮮3部門合計(34.0%) 2894億8693万円、プラス2.6%
   青果(14.0%) 1190億0384万円、プラス5.7%
   水産(8.7%) 743億4748万円、プラス0.8%
   畜産(11.3%) 961億3560万円、プラス0.5%
  惣菜(9.7%) 823億3857万円、プラス4.3%
  日配(19.3%) 1642億9766万円、プラス1.8%
  一般食品(26.2%) 2225億6925万円、プラス1.1%
 非食品(7.9%) 667億9996万円、プラス0.8%
 その他(3.0%) 252億5537万円、マイナス0.8%

「10月は31日が土曜日で、昨年より土曜日が一日多かった。ハロウィン商戦は年々盛り上がりをみせ、ハロウィン関連の売上げは過去最高だった。企業によっては関連商品が不足するという事態が発生したという声も聞かれた。かぼちゃを使用した惣菜や洋和菓子、スープ、またハロウィンパーティで需要のあるワインやリキュール、寿司、洋食パーティメニューなど、さまざまな関連商品が売れた。まだまだ伸びる可能性の大きいプロモーションといえる」

「ハロウィンは日本に定着してきた観があるが、同じくアメリカの重要なイベントである、11月第3木曜日のサンクスギビング(秋の収穫感謝祭)は、日本ではまったく騒がれない。サンクスギビングの食卓の象徴といえるホールのターキーは日本では売れないし、イベントとしては難しいかもしれない」

サンクスギビング週間はアメリカの最大休暇。日本で言えば、年末年始休暇のような位置づけ。アメリカでのイベントとしてはハロウィンより巨大だが、日本にもってくるとしたら「収穫感謝祭」というコンセプトをどう翻訳、転化するか。

「地方各地では『秋祭り』の祭事が行われている。地域によって開催時期がずれるため、店舗ごとの単独チラシやインストアプロモーションを強化。個店対応で秋祭りが成功した企業が多くみられた。行事用のお酒や菓子はもちろん、行事後の簡便惣菜のニーズも非常に高く、よく動いた」

各社、各店が、それぞれに工夫を加えて、取り組んだ跡が見られる。

「ボジョレー・ヌーヴォーに関しては例年並みの予約数だが、今年の特徴としては高単価商品に人気が集まっていること。ただし、各社で力の入れ方にバラツキがあるのが現状である」

「部門別に見ていくと、青果は相変わらず相場高で葉物野菜が特に高いため、カット野菜が好調に推移。フルーツではみかんが特に好調。鮮魚は台風の影響はあまりなかったものの、他国の乱獲の影響もあるのか、サンマや秋鮭が不漁で相場が高い。サンマは好調不調の企業に分かれた。一方で塩干は好調だった模様。ずっと大幅伸長を保っていた畜産だが、10月はわずかに0.5%のプラス。相場高は変わらず続いているが、ステーキや焼肉が伸び悩む半面、行楽需要で焼き鳥、鍋物需要でつくねや豚しゃぶなど単価の低い商品にシフトが見られたことが影響したか」

「加工肉に関しては、10月末にWHOが“加工肉に発がん性のリスクがある”という発表をした後、売上げが急下降している。今後、年末商戦やお歳暮などのギフト商戦への影響が懸念される」

「惣菜部門は行楽シーズンで運動会や秋祭りなどもあり、非常に好調。予約注文が多かった。季節の炊き込みご飯弁当やサラダ類、ハロウィン関係のかぼちゃ惣菜が好調。また夜になると少しずつ寒くなってきたこともあり、おでんなどのホット商材もよく動く」

「日配はヨーグルトが依然、絶好調だし、青果相場高のため、漬物もよく売れた。一般食品では長らく不調だった米は新米が出てきたこともあり、復調。ブランド米の新品種も数多く出回り、中でも今年初めて特A ランクを獲得した青森県の『青天の霹靂』は、CMなどのマーケティングやそのネーミングが話題になったことが功を奏し、欠品が発生する事態になった」

「健康食品ブームの継続で、加工食品部門ではプレミアムオイルやナッツなどが売れた。行楽や運動会の弁当づくり用のため揚げ物用の粉や、ふりかけ、海苔なども好調。繰り返しになるが、ハロウィン需要で菓子が絶好調。近年広まってきた個食鍋用の商品はメーカーとのタイアップによる連動企画が強化され、売上げを伸ばしている」

スーパーマーケットは、何かが売れなければ他の何かが売れる。それが増井さんのコメントによく表れた。それがこの業態の最大の「強み」である。


最後に、10月のまとめ。
既存店昨対のプラス幅が大きい順で、
百貨店のプラス4.2%、
総合スーパー プラス2.8%、
コンビニ プラス2.5%、
スーパーマーケットがプラス2.0%。

そして上記の全業態で、7カ月連続、既存店前年同月比プラスを維持。
日本の消費傾向が全体的に上向いてきているという見方ができる一方、スーパーマーケット統計調査で同時に発表される景況感調査(スーパーマーケット対象)では、見通し判断は決して明るくない。

クリスマスという大型プロモーションを展開する11月、さらに年末商戦に向け加速する12月。見通し判断を上昇させるか下降させるか、非常に重要な局面を迎える。

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