11月のSC売上高は5カ月ぶりのマイナス、またまた要因は暖冬¡
一般社団法人日本ショッピングセンター協会から11月のショッピングセンター(SC)販売統計調査が、発表された。サンプル数は495SC。先月が500SCだったので、5カ所減少したことになる。回答率は49.5%。
11月の既存SCの売上げは4545億1803万円で、前年同月比2.9%減。5カ月ぶりのマイナスとなった。テナントは3321億8488万円でマイナス3.1%、キーテナントは1223億3315万円でマイナス2.5%だった。
今月は暖冬が影響し、婦人服を中心に冬物衣料やブーツなどが不振だったため、アパレル比率の高い「テナント」の落ち込みが激しかった。それに比べ、総合スーパーやスーパーマーケットを含む「キーテナント」は、食料品の売上げが比較的堅調だったことが影響し、マイナス幅が▲2.2%となり、テナントに比べると少なかった。
(表は全て一般社団法人日本ショッピングセンター協会 SC販売統計調査報告2015年11月より)
地域別では、
北海道だけがプラスで1.6%増となったが、他はいずれもマイナス。
中部▲1.9%、関東▲2.2%、東北▲3.1%、近畿▲3.5%、北陸▲6.2%
四国▲7.1%、中国▲7.1%だった。
このところずっと順調に数字を伸ばしていた北陸周辺地区も大幅なマイナスとなり、北陸新幹線効果もそろそろ落ち着いてしまったようだ。
また、政令指定都市でみると、
福岡市2.3%、札幌市1.9%、名古屋市1.5%の3都市がプラスを計上。
一方、北九州市▲0.3%、東京区部▲0.8%、神戸市▲1.5%、仙台市▲2.4%、
京都市▲3.4%、大阪市▲3.4%、横浜市▲3.5%、千葉市▲5.5%、
広島市▲7.2%、川崎市▲9.2%と10都市がマイナスとなった。
またその他の地域(政令都市を含まない地域)では、
関東▲2.2%、北海道▲3.0%、東北▲3.3%、中部▲3.7%、近畿▲3.9%、北陸▲6.2%
九州・沖縄▲6.2%、四国▲6.3%、中国▲7.1%と全てマイナスとなった。
11月はこの厳しいなかで、札幌市と福岡市がプラスだったのは、インバウンド効果だったと協会は見ている。
JNTO(日本政府観光協会)によると、11月の訪日外客数は、前年同月比41.0%増、164万8000人で、これまで過去最高だった2014年の116万8000人を48万人上回ったと発表した。また11月までの累計が、タイ、シンガポール、マレーシア、インド、オーストラリア、アメリカ、イギリス、ドイツが2014年の年計を既に超え、特にマレーシアは単月としては、過去最高だった。
ただ、この発表を見ると、もっと全国的にインバウンド効果が表れてもいいのではと思うが、訪日外国人の主な目的は、買い物から、紅葉観賞などの観光に変わってきているのだろうか。12月はシンガポール、マレーシア、インドネシアからの学校休暇、香港やカナダからのクリスマス休暇があり、訪日旅行者の需要が期待されるが、どうやってSCに呼び寄せるか。それを考える時期がきているのかもしれない。
また、10月~11月は例年SCのオープンが多い時期といわれ、実際今年も11月に11SCが新規に誕生した。この新規SCという競合相手の登場こそが、「既存SCの不振要因」と回答するケースもあった。名古屋のプラス1.5%はこのリニューアル効果といえる。
11月SCの不振要因は、天候不順と暖冬。これは、百貨店、総合スーパーとまったく同じ。
わずかながらも売上げプラスに貢献したのは、インバウンド効果とリニューアル効果だった。
SC業界も今月は、天気に悩まされた1カ月だった。
再び、みたび、あ~あ、お天気産業よ。
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