【9月外食産業】悪天候にも負けず、ファストフード好調で売上高1.5%増!
一般社団法人日本フードサービス協会(JF)が9月の外食産業市場動向調査を発表した。この調査は新規店も含めた「全店データ」を業界全体及び業態別に集計したものである。
有効回収の事業社数は194社で店舗数は3万3224店。事業者数は前月と変わらないが、店舗数は234店舗増加した。その中でファストフードは1万7076店と全体の51%を占める。ファミリーレストランの9574店とあわせると2万6650店で約8割。この2業態の動向がこの外食産業調査の売上げを左右する。
詳細は以下表のとおり。
(社)日本フードサービス協会資料をもとに商人舎にて作成:以下同じ
また参考資料として9月の曜日まわりと天候をみてみよう。
*雨天日数は1ミリ以上の雨の降った日数である
昨年より休日が1日少なく、平均気温は東京都は1.8℃、大阪府は2.6℃も高かった。また、東京都の雨天日数は1日少なかったのに比べ、大阪府は4日も多かった。
全体概況
9月の売上げは前年同月比1.5%プラスとなり、2カ月ぶりに前年を上回った。前年より休日が1日少ない曜日まわりや台風の影響などマイナス要因は多数あったものの、ファストフードが好調に推移し、全体を牽引した。
<ファストフード業態>
全体売上高は前年同月比プラス4.5%となり好調だ。
洋風――各社キャンペーンの成功により売上高は6.9%増。客単価も4.6%プラス。
和風――販促回数が増えたことにより客数が2.2%プラス。売上高も2.6%増。
麺類――売上高4.6%。店舗数3.7%、客数3.7%、客単価0.8%とすべてプラス。
テレビCMなどによる販促強化が功を奏した。
持ち帰り米飯・回転寿司――店舗数の▲3.1%が響き、客数、客単価も減。売上高▲0.7%。ファストフードの中で、唯一マイナスとなった。
その他――売上高2.2%増。カレーの新メニューが好調だった。
<ファミリーレストラン業態>
休日が昨年より1日少ない曜日まわりと天候不順の影響で、売上高は▲1.5%。
洋風――売上高は▲2.3%。店舗数、客数、客単価もすべてマイナス。
和風――休日が少なかったことが大きく影響し、売上高▲1.6%。
中華――こだわりを追求したメニューが好評で、売上高0.3%増。
焼肉――先月台風の影響を受け、2012年2月以来の前年割れとなったが、今月は店舗数増加にも助けられ売上高0.4%増となり回復傾向。
<パブ・居酒屋業態>
合計では、売上高▲6.6%となり不調。
パブ・ビアホール――一部で若年層の集客が好調で売上高4.8%プラス。
居酒屋――売上高▲8.6%。店舗の減少が響き、客数、客単価とすべてマイナス。
パブ・ビアホールは好調で、居酒屋はマイナス。この傾向がずっと続いている。同じ業態としてくくられているのは、パブ・ビアホールにとってちょっと気の毒だ。
<ディナーレストラン業態>
節約傾向なのか、客単価は▲1.2%だったものの、店舗数が5.7%増加したことや、一部郊外型店舗が好調で、客数4.0%の増加となった。売上高は2.7%プラス。
<喫茶業態>
平日が多い曜日まわりがプラスに作用し、売上高2.5%増。新商品の投入、フードメニューの充実、積極的な店頭PRによるものだ。他の業態は休日が多いと潤うが、喫茶業態だけは反対である。平日が多い月ほど売上げは伸びる傾向だ。
9月の外食産業業態別の結果を、売上高伸長率順にまとめると以下のとおり。
ファストフード4.5%、ディナーレストラン2.7%、喫茶2.5%、その他2.3%と4業態がプラスとなった。
一方マイナスは、ファミリーレストラン▲1.5%、パブ・居酒屋業態▲6.6%。とはいっても、パブ・ビアホールは4.8%とファストフードを抜いて、一番売上げを伸ばしている。
9月は休日の少ない曜日まわりと台風などの天候要因もあり、外食産業にとって厳しい条件の月となった。しかし、全体の5割を超える店舗数を誇るファストフードが好調で、プラスを維持することができた。最近の家計調査でも日本人の節約志向が、結果となって表れている。外食の中でも「贅沢」のイメージが少ないファストフードが好調だったのも納得できる。また9月の結果を見てみると、好調だった項目の理由として、キャンペーンの成功、販促回数の増加、CM効果などがあげられ、企業努力が結果につながっていることがわかる。
既に報告済みの小売業の9月の売上高は、天気に悩まされて全業態マイナスだった。しかし、外食産業は天候不順に苦しみながらもプラスを維持することができた。食品産業の水先案内人ともいえる外食産業が、工夫次第で売上げが伸ばせるというヒントを与えてくれている。
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