セブン&アイグループの成長戦略は「セブン、セブン、セブン!」
セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長のマスコミ露出がすごい。
経営誌に軒並み登場し、持論を展開。
とくに、週刊『東洋経済』は鈴木会長の言葉を丁寧に再現して話題をまいた。
マスコミ露出の背景にあるのは、8日に発表された「グループ成長戦略と事業構造改革について」の対応があるからだ。
この「グループ成長戦略と事業構造改革について」は、大きく3つに分けられる。
1.成長戦略、2.先行投資、そして3.構造改革。
1の成長戦略は実に明確。
コンビニエンスストア事業への積極投資による成長――この一言につきる。
具体的には、セブンプレミアムの開発と販売、オムニチャネル戦略における受け取り拠点としてのサービス強化で、グループの他業態とも連携してさらにコンビニ事業の成長を目指すというもの。
だから2の先行投資については、オムニチャネル戦略への投資を挙げる。
グループ総力をあげて収益の柱とするべく取り組むとしているが、そのエンジンはもちろん「omni7(オムニ7)」。昨年度、最高情報責任者(CIO)として鈴木康弘取締役を当て、グループ各社のシステム強化を横断的に推進する体制を整えた。
3つ目の構造改革は、(株)イトーヨーカ堂と(株)そごう・西武の2社について。
それぞれの課題については即座に手を打ち、将来の発展につなげるとしている。
まず、イトーヨーカ堂の構造改革だが、鈴木敏文会長が掲げる「脱チェーンストア」に沿ったもの。独立運営店舗を全店に拡大し、本部主体から店舗主体の営業体制への移行を進めることが大前提となる。
昨年10月8日に発表された構造改革では、今後5年間で不採算店40店舗を閉鎖。さらに本部要員を3割削減しつつ、本部機能の一部の権限を店舗に移譲すること。そのうえで、総合型店舗は首都圏を中心とした立地優位性を発揮させ、一方、地方エリアは食品中心に提携企業との連携強化。テナントミックス強化と、(株)モール・エスシー開発との連携を図り、新規出店については収益の見込めるSC型と食品特化型の店舗に絞る。こういった内容だった。
当時のイトーヨーカ堂社長は戸井和久さん。
今期施策は亀井淳社長の下で、40店舗閉鎖の中の20店舗閉鎖を実行。これによって特別損失約40億円前後を計上しつつ、営業利益で19億円程度の効果が生まれると見込む。
そして戦略の一つが食品強化であり、店舗戦略も食品を軸とする。
それにしても、食品市場は堅実で魅力ある市場と映っているのだろう。イオンもイトーヨーカ堂も、いずれもGMS再生策は食品強化を挙げ、好調のイズミ社長の山西泰明さんもスーパーマーケットへの傾斜を明言している。
そして(株)そごう・西武の構造改革。オムニチャネル戦略に沿って、自主商品開発や地域特性に合わせた品揃えの拡充を挙げる。
店舗閉鎖も断行する。2月29日には昨年の発表通り「西武春日部店」を閉店した。さらに今期は、9月末にそごう柏店と西武旭川店の2店舗を閉鎖する。特別損失は約15億円。
また百貨店事業でも本部要員を100人削減し、店舗へ再配置することでサービス力を強化する。あるいは商品部にMD制を導入し、商品開発体制の改革を推進し、地方店舗の活性化として自主MD強化、テナント強化によるSC化を進め、オムニチャネル戦略を軸にエリア戦略モデルをつくるとしている。
イトーヨーカ堂もそごう・西武も店舗閉鎖と本部要員削減は明確だが、残念ながらその先の店舗戦略や既存店活性化策はあまり具体的で効果的なものは見えてこない。
だから取り上げるマスコミも店舗閉鎖への関心ばかりが高くなる。
しかし、セブン&アイのグループ成長戦略は具体的で明確だ。
それはニュースリリースの前文に明言されている。そのまま掲載しよう。
(株)セブン&アイ・ホールディングス成長戦略グループ経営の本質はシナジー効果の創出であり、各業態が持つ経営資源を活用しながら、時代の変化に対応した流通サービスを創造し、お客様に日々「新しい価値」をお届けすることであり、グループ各社の力を使いコンビニエンスストア事業を更に成長させていくことを戦略の柱とする。
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