バローnews|中部薬品でAIによる「需要予測型自動発注システム」導入
(株)バローホールディングス(岐阜県多治見市、田代正美会長兼CEO)は5月14日に公表した「バローグループ・新中期経営計画」の下、差別化戦略の柱として、商品在庫の効率的な配置をグループDXの次なる目標に掲げて取り組んでいる。中でも需要に合わせた店舗在庫のコントロールを最優先に進めていて、グループ傘下の中部薬品(株)(岐阜県多治見市、高巢基彦社長)が2023年8月から稼働したAIによる需要予測型自動発注システムを基軸とした商品管理基盤が一定の持続的効果を上げている。
従来のシステムでは、日配品など需要波動の高い商品群の予測精度が低かった。また季節変動や売場変更に合わせて指数を変更して対応するなど運用にも労力を要していた。それらの改善を目的に、(株)日立システムズのAIによる「需要予測型自動発注システム」を導入した。予測精度の改善を図り、棚割情報や特売情報・イベント情報・気象情報などを整備/連携することで、統合的な商品管理基盤の構築に取り組んでいる。
具体的なメリットでは、第1に、変動要因となる30種類の要素データを分析する需要予測計算によって、従来は難しかった消費期限の短い日配品でも高い精度で需要や適正在庫を予測することが可能になっている。
第2に、「棚割システム」と連係した商品改廃だ。どの商品をどこにどれくらい陳列し、いつ販売するかなどの棚割に関する情報を入力された「棚割システム」と連係しながらAI が高度な需要予測を行い、それに基づく発注量を提案する。特売や季節行事、ポイントイベントなども加味することができる。また棚替え時の発注作業や新商品、代替商品への入替時の在庫を自動抑制(売り減らし機能)などの商品改廃が可能になっている。
第3は、システム運用負荷の軽減だ。従来のシステムでは商品単品単位で安全在庫(指数の変更)を設定していて、運用の大きな負荷となっていたが、導入後は演出在庫や経済的発注量の調整パラメーター等を商品分類単位で設定し、在庫量や発注量をコントロールする運用が可能となり、作業負荷が軽減された。
稼働以降、自動発注率は 80%超に向上している。また滞留在庫(棚割り除外品在庫)についても約3 割削減を実現している。中部薬品では状況診断と課題対応を店舗ごとにグルーピングしつつ本部~店舗一体で全体対応を進めていて、約90%以上の自動発注率を目標としている。これは1週間で1000 時間以上の発注作業の削減に相当する。またこうした店舗在庫の最適化スキームを流通在庫にも還元するために、物流センター在庫への部分連携にも着手し始めた。蓄積された内部データを丹念に分析することで精度向上と適用範囲の拡大を図っていく考えだ。