ウォルマートnews|IBMのブロックチェーン活用で取引先とトレーサビリティ
ウォルマート(Walmart)は2019年9月から、同社のウォルマートとサムズ・クラブで販売する食品のトレーサビリティ管理を本格化させる。そのために、IBMが開発したブロックチェーン技術を使って、トレーサビリティ管理するよう、ベンダー(納入業者)に求めていく。ウォルマートのベンダーは「リテールリンク」と呼ばれる電子商取引のネットワークに入っている。
そのリテールリンクに、このブロックチェーン技術を活用すると、取引きデータを一元的に管理できるようになる。その結果、生産者から消費者にいたるまで、誰もが商品の生産元や加工元などの情報を得ることができるようになる。
従来の流通業は、書類によって情報管理がなされてきたため、記載ミスや意図的な改ざんが発生することもあった。ブロックチェーン技術では、逆に人の手を加えることが難しいので、データの信頼性も高まる。
ウォルマートは2016年からIBMと協力して、このブロックチェーン技術を使った実証実験を行ってきた。
現在のところ、商品はレタスなどの葉物野菜に限られているが、「来年中にはほかの野菜やフルーツのベンダーにも対象を拡げていく」と、フランク・イアナス(Frank Yiannas)食品安全担当副社長は述べている。
また、「この要求は、食の安全を確保するために、ベンダーの合意書の一部に含まれるようになるが、食品を媒介にした疾患やリコールが発生した場合の対応時間を短縮することが目標だ」とも述べている。
全米に5000店以上を展開するウォルマートは、葉物野菜の納入業者だけでも100社以上になる。このプログラムを拡大すれば、その数を増やすこともできる。IBMは、一部は無料でサービスを提供するとしているが、月商5000万ドル(1ドル100円換算で50億円)ほどのベンダーでは、数百ドルの費用がかかる。IBMは、食品のトレーサビリティに関して、ドール・フーズ、ユニリーバ、ドリスコルなど10社ほどの企業と既に契約を結んでいる。ブロックチェーン技術を使った商品・サービスの市場は7億ドル(700億円)で、IBMはその32%を占めている。