コストコnews|第1Q総収入10.2%増/アマゾン対策(⁉)で粗利率0.5%下げる
コストコホールセール(ワシントン州イサクア市、クレイグ・ジェリネックCEO)は、11月25日で終了した2019年度第1四半期の業績を発表した。
第1四半期の売上高は前年同期比で10.3%増の343億1100万ドル。会員費収入を含めると、350億6900万ドル(1ドル100円換算で3兆5069億円)、こちらも10.2%の増加だ。営業利益は9億4900万ドルで0.2%のマイナスだが、純利益は7億6700万ドルで19.8%の増加だ。
つまり営業利益はマイナスだとしても、コストコは会員費収入で純利益を生みだしている計算になる。これが「コストコ=ディズニーランド論」の根拠である。
既存店売上高は8.8%増、ガソリン販売と為替の影響を除くと、7.5%の増加だ。
客数は4.9%増、客単価は3.7%増。米国内とカナダの会員更新率は90.5%と極めて高い。世界でも88.0%である。
現在、世界11カ国に768店舗を展開している。米国とプエルトリコに533店舗、カナダに100店舗、メキシコに39店舗、イギリスに28店舗、日本に26店舗、韓国に15店舗、台湾に13店舗、オーストラリアに10店舗、スペインに2店舗、フランスに1店舗、アイスランドに1店舗。2019年後半には中国上海市への出店を計画している。
米国、カナダ、英国、メキシコ、韓国、台湾では eコマースの Webサイトを運営している。eコマースは順調に成長していて、為替の影響を除いて26.2%伸長している。とくに家電、ハードウェア、健康美容商品、カー用品の販売が好調だ。さらに、今年12月12日からはアップル社のコンピューターの販売を開始した。
またグロサリーの即日配達は10月で1年が経過した。米国内の99%の店舗が、車で20分以内に配送できる会員に対して即日配達サービスを提供している。
粗利益率は10.75%で、前年度より0.5%減少した。この粗利の低下については、売上げ拡大のための販促費の増加と、生鮮食品販売におけるウォルマートのサムズ・クラブやスーパーマーケットとの競争激化を理由として挙げている。
【結城義晴の述懐】それにしても粗利益率10.75%。私は「コストコ=ディズニーランド論」を唱えているが、顧客は会員になると、1年間、コストコで楽しみ放題。ディズニーランドの「パスポート券」と同じ考え方がコストコの会員権だ。だから粗利益率10%台を打ち出す。そしてこれに関しては、スーパーマーケット各社は全く歯が立たない。ウォルマート・スーパーセンターもコストコを無視する素振りを見せるしかできない。同業態のサムズ・クラブが対抗するが、実際はこれもコストコの相手ではない。だから今回のコストコの意図的な粗利益率0.5%ダウンは、アマゾン対策であると思うが、いかが。それを表面に出さないようにふるまうために「競争激化」と理由を挙げた。サムズやBJ’s、そしてクローガーをはじめとするスーパーマーケットとは、圧倒的な格差を持っている。あえてさらに粗利益率を下げる理由は、アマゾン対策としか考えようがない。