ウォルマート、ExpressバナーをNeighborhood Marketに転換
ウォルマートは現在展開している小型店フォーマットの「Walmart Express」をすべて、スーパーマーケットの「Neighborhood Market」に転換すると、アメリカの複数の報道機関が伝えている。
ウォルマート・ストアーズからの正式リリースはまだ出ていないので、推測の域を出ない。
しかし、不調の続く国内部門をなんとか打破するための政策の一部と読み取れる。
なぜなら先月発表された2015年度の第2四半期決算では、国内売上高は昨対マイナス。これは6四半期連続。低迷する国内部門のなかで唯一、既存店売上高プラス5.0%、客数プラス4.1%とネイバーフッド・マーケットが堅調だ。全体回復への足がかりとなる。交代したばかりの国内ウォルマート事業部門の新CEO・Greg Foranがさっそく動き出したとみることができる。
現在、「ネイバーフッド・マーケット」は全米で381店舗を展開している。対する「ウォルマート・エクスプレス」バナーは21店舗。この21店舗をすべて「ネイバーフッド」のバナーにリブランドする。と同時に、エクスプレスとしてオープン予定だった店舗や開発中の店舗もすべて、「ネイバーフッド・マーケット」としてオープンさせる計画のようだ。
店舗サイズ1万2000 sqft(約1100㎡)のエクスプレスと、約4万sqft(約3700㎡)のネイバーフッドでは商品のアイテム数においては大きな差があるものの、展開する商品カテゴリーは似ている。主力は生鮮食品。そして利便性の高い即食商品に力を入れている。さらにいずれも薬局部門を併設している。したがって、まったく違うフォーマットで展開するよりも、バナー名を統一しマーケット認知度を高める方がよい。転換もスムーズとの判断だ。
しかし逆に言えば、「エクスプレス」フォーマットが完成にほど遠いことを示している。このフォーマットはイギリスのテスコが、テスコ・エクスプレスとして開発し、成功させている。
テスコは超大型のエクストラ(平均6625㎡)、スーパーストア(同2786㎡)、メトロ(同1081㎡)、そしてエクスプレス(同205㎡)の4つのフォーマットを展開して、その商品ライン、価格ラインの統一を図っている。つまり4つのフォーマットのバランスが効率化を生み出し、利益を最大化させている。
対して、ウォルマートのエクスプレスは1100㎡。テスコのメトロに近い面積。ネイバーフッドが3700㎡でこれはテスコ・スーパーストアのサイズ。
もちろんウォルマート・スーパーセンターは25万sqft(約2万3000㎡)。これはエクストラの役割と似ている。
ここで、テスコ・メトロは極めて限定された立地のフォーマットだ。大都市の空いた立地、地方都市のメイン立地。そしてテスコはクラブカード分析で、フリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)を展開している。
ウォルマート・エクスプレスも限定された立地のフォーマットだが、こちらはFSPを採用していない。
エクスプレスのような小型フォーマットは、その意味で、厳密な顧客把握が必要となる。
ウォルマートの今回の意思決定は、そのことを意味しているのではないか。
第2四半期発表の段階で、今年度中に180~200店の「ネイバーフッド・マーケット」新店オープンを計画していた。「ウォルマートエクスプレス」も当初は90店の新店開発が予定されていた。したがって、今年度は270~290店の新ネイバーフッド店オープンの計画となる。ウォルマートの「ネイバーフッド頼み」はさらに加速しそうだが、むしろこれはネイバーフッド・フォーマットの許容範囲の広さを意味して、今後の成長のスピードは促進されるだろう。
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