ウォルマートがスマホを使った当座預金サービス「ゴーバンク」を始める
ウォルマート・ストアーズが9月24日、グリーンドット(Green Dot Corporation)と提携。
10月末までにウォルマート全店で「ゴーバンク(GoBank)」を始める。
これは簡単に言えばスマートフォンを使った当座預金サービス。
アメリカの低所得者層はクレジットカードをもたないし、一般の銀行に口座も開設できない。
しかしスマートフォンは頻繁に使っている。
もちろん若者層も盛んにスマートフォンを活用する。
ゴーバンクは、昨年1月からグリーンドットが始めた新しい金融サービスだが、特徴はそんな客層をターゲットにしていることだ。
ウォルマートはグリーンドットと組んで、この顧客層をしっかりと取り込むという作戦を始める。
顧客はウォルマートの店頭やEコマースで2ドル95セントのスターターキットを購入する。
それだけでゴーバンクの口座を開設することができる。
この口座は、スマートフォンだけで、すべての処理が可能である。
まず第1に、残高の確認などの口座管理ができるし、買い物代金の支払いもできる。
第2に、紙の小切手は使わず、スマホ上で小切手を読み取れば、入金や決済も可能となる。
第3に全米4万2000カ所のATMでの預け入れや引き出しも手数料が無料となる。
第4に、口座に500ドルを振り込んでおけば、毎月のサービス手数料の8ドル95セントが無料となる。
さらに第5に、預金残高を超過して資金を引き出すと罰則金が科されるが、それも免除される。
この罰則金は「オーバードラフト・フィー(overdraft fee)」と呼ばれて、通常の銀行では35ドル以上も課される。
ウォルマートのレジの前には、「マネーセンター(MoneyCenter)」とネーミングされたショップがある。ここではプリペイド方式のデビッドカード「ブルーバード (Bruebird)」が発行され、小切手換金や公共料金等の振り込み、郵便為替サービス、さらに確定申告の取り扱いまで、各種のサービスが多様に展開されている。
このブルーバードは2012年10月から、アメリカンエクスプレス社がウォルマートと組んで、プリペイドカード参入をもくろんだプロジェクトだ。
この最大手の新しい金融サービスに対して、グリーンドットが逆襲し、特にスマホを使った金融サービスを始めるために、ウォルマートと提携したというわけだ。
日本ではセブン-イレブンをはじめとしたコンビニが、この面でのサービスで先行しているが、アメリカではウォルマートを中心に回るメリーゴーランドと化している。
そしてウォルマートの方は今年の4月に、さらに新しいサービスをスタートさせている。
名づけて「ウォルマート・トゥ・ウォルマート・マネー・トランスファー」。
Walmart 2 Walmart MoneyTransfer。
手数料が極めて低い国内送金システム。
ウォルマートの店頭は、まだまだ多様なサービスを受け入れる余地を持つ。
ブルーバードやゴーバンクは、その一例に過ぎない。
ちなみに、グリーンドットコーポレーションは正確には銀行持株会社。
本質はファイナンシャル・サービス企業で、顧客向けに資金運用ソリューションの方を提供する。
具体的には、汎用再ロード可能な前払いデビットカードを提供する機能が主体。
プリペイドカードも扱っている。
特に同社のグリーンドットネットワークは前払いカード向 けのリロードネットワークである。
そのために約5万9000の店舗でカードを販売し、リロードサービスを提供する。
これによって顧客に同社の製品とサービスへの便利 なアクセスを提供する。
このグリーンドットネットワークにはグリーンドットブランドGPRカード、提携GPRカー ドがある。
そのグリーンドットの業界ランキングは第10位。
1位がアメリカン・エキスプレス
2位がキャピタル・ワン・ファイナンシャル
3位がディスカバー・フィナンシャル・サービスときて、
10位がグリーンドット。
10位となるとユニークなサービス機能を持たねば、生き残ってはいけない。
そこでウォルマートと提携して、低所得者層をスマホで狙い撃ちする。
グリーンドットとウォルマートが顧客ターゲットを一致させているが、これは原則中の原則だ。
小売業と金融業の連携は、ますます強くなる。
日本のセブン銀行とイオン銀行もその例の一つ。
そしてスマホなどのパーソナル・ツールも深く絡み合ってくる。
人々の暮らしがその方向へ進んでいるからだ。
検索ワード;グリーンドット ウォルマート ゴーバンク Money Center