アマゾン2014年度年商890億ドル・241億円の赤字はプライム会員獲得に使われた!

米国アマゾン・ドット・コムの2014年度第4四半期決算と年度決算。年度末は12月31日。

第4四半期売上高は293億3000万ドル(1ドル100円換算で2兆9330億円)。前年比15.0%プラス。しかし純利益は2億1400万ドルでこちらは10.5%のマイナス。
index
結果として年度決算は売上高889億9000万ドル(8兆8990億円)で2割のプラス。
こちらも純損失が2億4100万ドル。前年が2億7400万ドルの純利益だったから、まさに逆転。

この利益の逆転現象は、どこにあるのか。

アマゾンは昨年、プライム会員費を値上げした。
しかしその会員数はアメリカ国以内で5割の増加。世界のアマゾングループでは53%増加。

米国内のアマゾンの顧客は9000万人弱。その45%の約4000万人が、優良顧客のプライム会員だとされる。そのプライム会員が5割も増えた。

もちろん、アマゾンの画面を開くとすぐにわかるが、プライム会員への新規加入者は30日間無料となる。つまりフリートライアル・プロモーションがあって、それがプライム会員5割増を牽引した。4000万人ならば、年間に約40億ドルの会員費収入がある。

しかし、それでは年度決算の純損失の理由にならない。

実は、プライム会員への配達料に数10億ドルが計上された。さらにプライム会員に無料提供されるビデオ制作等のコストも13億ドル。

例えば、生鮮食品の宅配のアマゾン・フレッシュは、ニューヨーク・マンハッタンやフィラデルフィアで実験的に展開された。なんと50万以上のアイテムからチョイスすれば、即日または翌日の朝、配達されてくる。これはプライム会員だけの特権である。

つまりアマゾンの2014年度の赤字は、プライム会員へのサービス・コストによるものである。

アマゾンの発注から配達までを利用した商品提供業者は第4四半期に65%も増加した。しかしその分、粗利益率は13.9%から3.4ポイント下がって、10.5%となった。これは商品提供業者数の増加によるものだ。

そのほかにも、アマゾン・ウェブ・サービスが伸長し、国際部門は急成長した。

さらに配送による収入増加は、世界中で5割増加しているが、その配送コストの増加は3割で、配送コストは差し引き12%しか増加していない。

こう見るとアマゾンは、商品提供業者分の配送コストを削減して原資を確保し、それをプライム会員の配送サービスやコンテンツ提供サービスに回し、商品提供業者の手数料収入を使ってウォルマートをはじめとするリアル店舗小売業との競争価格に投資している。

アマゾンの2014年度の増収純損失は、極めて意図的にプライム会員を増加させ、価格競争に勝利するための作戦と見ることができる。9兆円近い年商の世界最大のEコマース企業の241億円の利益分の投資は、リアル店舗企業との主導権争いに使われたのである。

 

検索ワード:アマゾン プライム会員 アマゾンフレッシュ

 

 

関連カテゴリー

海外 最新記事

一覧

最新ニュース

一覧