セブン-イレブンnews|経営体制強化/2019年度投資額の6割を既存店に投入

(株)セブン-イレブン・ジャパン(東京都千代田区)は、4月8日付で永松文彦代表取締役社長の新体制になる。その新たな体制の下で「事業構造改革」を進めていくと発表した。

第1は、立地に応じた出店基準の厳格化による出店精度の向上である。その結果として、来年2020年2月までの2019年度の新規出店数は前年に比べて539店減の850店に抑える

1000店の大台を割り込むのは2010年度以来となる。一方で閉店は700店前後となる。したがって純増店舗数は150店ほどになる。純増数が200店を割るのは1977年度以降で、42年ぶりのことだ。当時はまだ社名がヨークセブンだった。

この低成長をセブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は、質を追求するための「意志のある踊り場」と表現した。FCオーナーとの24時間営業問題や廃棄問題など、経営を取り巻く課題が表面化している。

第2は、加盟店とのコミュニケーション機会の拡充である。そのために全役員が全地区の加盟店オーナーとの対話機会を設け、それを徹底する。

24時間営業問題は、現場からの情報がトップに届いていなかった。井阪社長は、「24時間問題に対応できなかったというよりは、むしろコミュニケーションのパイプの根詰まりが組織的な構造としてあった」と発言し、大企業が最も陥りやすい病を理由に挙げた。

永松副社長も「本部と加盟店の間にコミュニケーションの問題があった」と認めたうえで、「本部と加盟店とのコミュニケーション改革に取り組む」と強調した。

第3は、先端技術を活用した“省力化プロジェクト”設立とその推進である。そのためにセルフレジを年内に全店導入し、新検品システムの簡素化、スマートフォン決済による省人化実験などを進める

19年度は既存店のために、総設備投資額1450億円のうちの6割を投入する。従来は新店投資が6割だったが、新規出店を抑えることもあり、既存店に投資を振り向ける。

第4が、非24時間営業の実証実験による課題把握と方向性の提示である。3月には直営10店、4月にはFC2店の非24時間営業のテスト拡大を行った。その結果を検証して、今後の営業時間を検討する。

加盟店オーナーから24時間営業の見直しを求める声が高まったことを受け、セブン-イレブンは3月下旬から営業時間短縮の実験を始めている。永松副社長は、「営業時間短縮に関して、加盟店オーナーからの申し出は現時点で96件、2万店あるFC店の0.5%に過ぎない」と強調した。

24時間営業問題については、井阪社長も、「(システムの)根幹をなしていて、それによって生活の基盤を得ている人もいる。検証もせず、拙速にやめてしまうと、そうした人の生活基盤にリスクを及ぼす」と24時間見直しには慎重な構えだ。永松副社長は「経営環境の状況に応じて、募集から店舗オペレーションまで24時間体制を維持できるよう、フォロー態勢は十分に整えていきたい。個店の経営環境は非常に大きく異なっているので、営業時間についても、個店にあわせた柔軟な対応を、判断して行っていきたい」という認識を示した。

セブン-イレブンではこの事業構造改革を通じて、「加盟店と寄り添い、サプライチェーン全体と連携した『未来志向』の革新を進めていく」としている。

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