インテージnews|ポイント還元、現金併用者4割がキャッシュレス決済増やす
(株)インテージ(東京都千代田区、檜垣歩社長)は、消費増税後のキャッシュレス決済の意向について調査している。増税時の消費の落ち込みを防ぎ、キャッシュレス化を進めるために行われる予定の施策だが、消費者は果たしてキャッシュレス決済をどのように思っているか。全国の20~69 歳の男女2113人から回答を得た。
図1は、現在、キャッシュレス決済と現金を併用している人を対象に、もっともよく利用しているスーパーマーケット、コンビニエンスストア、ドラッグストア、ホームセンター・ディスカウントストアが、ポイント還元を受けられる店舗だった場合、キャッシュレス決済を増やすかどうかを聞いている。どの業態でも4割程度の人が増やすと答えている。
図1
図2は、これまで主に現金払いだった人が、ポイント還元を機にキャッシュレス決済をするかどうかを聞いている。利用するようになると答えた人は、どの業態でも4分の1程度にとどまった。必ず利用すると答えた人は全業態で10%にも届かず、キャッシュレス決済の新規利用を促すという目的からすると、数字は伸びていない。
図2
図3は、ポイント還元の認知率だ。認知率70.6%に対して。「酒類・外食を除く飲食料品」と「定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞」を対象に税率が8%に据え置かれる軽減税率については、86.9%の人が内容を理解している、または名前は知っていると答えている。ポイント還元の認知率の低さがわかる。
図3
図4は、増税後、支出を引き締めると答えた人は30.1%、少し引き締めると答えた人は50.8%と、合わせて8割超の人が支出を抑制する傾向にある。インテージでは2018年11月にも同様の調査を行っているが、ほぼ同様の数字が出ていることから、現在の消費喚起の施策では消費への悪影響は避けられない状態とだと分析している。また5月に出された景気動向指数の基調判断が6年ぶりに悪化となっているだけに、増税後は消費がシュリンクする懸念があるとまとめている。
図4
このポイント還元については経済産業省が「キャッシュレス・消費者還元事業(ポイント還元事業)の概要(4月12日時点)」として発表しているので、確認しておこう。
実施期間は増税時の2019年10月から2020年6月までの9カ月間になる。
対象となるのは、中小・小規模事業者だ。
一般の中小・小規模事業者については、①消費者還元5%、②加盟店手数料率3.25%以下への引下げを条件とし、さらに国がその1/3を補助、③中小企業の負担ゼロで端末導入には1/3を決済事業者、残り2/3を国が補助する。
またフランチャイズ等の場合は消費者還元2%で、端末費用及び加盟店手数料の補助はない。
この施策については一部の協会を除き、日本チェーンストア協会や日本スーパーマーケット協会など小売業の協会や団体が「公平な競争を阻害する」として反対の立場にある。政府・行政が進めるほど、消費者は踊らず、といったところか。
■インテージ調査の概要
調査地域/全国
対象者条件/20~69 歳の男女
標本抽出方法/同社「マイティモニター」より抽出しアンケート配信
ウェイトバック/性年代構成比を、2015年度実施国勢調査データをベースに、人口動態などを加味した2017年度の構成比にあわせてウェイトバック
標本サイズ/n=2113
調査実施時期/2019年4月26日(金)~2019年5月7日(火)