全米2位ヤン・ブランドのタコ・ベルとピザ・ハット、人工添加物使用廃止の方向性打ち出す
アメリカの外食産業で人工添加物廃止の動きが急だ。
2014年度の全米チェーンストアランキング第24位が「ヤン・ブランド(YUM! Brands)」だが、その傘下にあるファストフードのタコ・ベルとピザ・ハットが、食品の人工添加物を廃止すると発表した。前者はメキシコ料理のファストフードで米国内に6200店、後者はピザの宅配事業6000店以上を展開する。
ヤン・ブランドは年商352億6400万ドル(100円換算で3兆5264億円)、米国内年商は181億4400万ドル(100円換算で1兆8144億円)、店舗数1万8106のすごいチェーンストア。
その上には、ファストフード世界一のマクドナルド(McDonald’s)があって、こちらはチェーンストアランキング11位。世界年商は891億2600万ドル、米国内358億5600万ドル、店数1万4267。
スーパーマーケットのホールフーズは一切、人工添加物を使用しないが、これに賛意を示す消費者は増え続け、食品メーカーのネスレやクラフト、菓子メーカーのハーシーなども「オーガニック&ナチュラル」をはじめとする無添加食品素材の使用に転換している。
ハンバーガーショップでもインナウト・バーガーやニューヨークのシェイク・シャックは、マクドナルドに嫌味を突きつけるごとく、人工添加物等を使わず、美味しいメニューを提供して、大人気だ。
国内1800店のメキシカン・ファストカジュアルチェーンのチポトレ・メキシカングリルも遺伝子組み換え作物(GMO)を全面廃止し、「ノンGMO」あるいは「GMOフリー」にすると発表している。この動きにフードサービス業界のマーケット・チャレンジャー「ヤン・ブランド」がやっと重い腰を上げたわけだ。
ヤン・ブランドCEO のグレッグ・クリードは語っている。
「消費者のオーガニックフード・ナチュラルフードを求める変化が業界に革命を起こしている」。
ピザ・ハットは人工着色料の使用を7月の終わりまでに廃止し、成分表をオンラインで公表する。一方、タコ・ベルは、トランス脂肪酸、人工着色料、人工風味料、異性化糖(高果糖シロップ)、非持続可能なパーム油の使用を今年末までに廃止し、人工保存料も2017年まで段階的に、95%の化学調味料の使用を中止し、オーガニック&ナチュラルに転換する。
ただし、タコ・ベルもピザ・ハットも付け合せドリンクの炭酸飲料はそのまま販売する。さらにヤン・ブランド傘下のケンタッキー・フライドチキンは、現時点では化学調味料の使用廃止を決定していない。
巨大チェーンは、巨大であるが故に、そう簡単に商品仕様やシステムを変更することができない。シェイク・シャックやインナウト・バーガーはその意味で、マーケット・ニッチャーの強みを発揮しているし、それを経営哲学にしている。マーケット・チャレンジャーがニッチャーを同じ方向に舵を切りつつあることで、マーケット・リーダーも動かざるを得なくなる。
それら全て、ホールフーズマーケットの絶大なる影響力によるものであることは間違いない。
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