クローガーnews|’17年決算/年商1227億ドル・2年連続「増収減益」・EC9割増

クローガー(ロドニー・マクマレンCEO)は、2018年2月3日に終了した2017年度の通期決算と第4四半期の実績を発表した。ご存知、米国スーパーマーケット産業のトップ企業。

まずは第4四半期。売上高は310億3100万ドル(1ドル100円換算で3兆1031億円)で、前年同期比12.4%増加。純利益は8億5400万ドル(854億円)で68.8%増。粗利益率は21.9%と低く設定された。

そして、通期決算。売上高1226億6200万ドル(12兆2662億円)で前年比プラス6.4%。通期の粗利益率は22.0%を確保したが、2016年度の22.4%よりも下げている。ウォルマートやAmazonとの価格競争が、ますますシビアになっていることを示している。

営業利益は20億8500万ドル(2085億円)、マイナス39.3%で大幅に減少した。純利益もマイナス3.4%の19億700万ドル(1907億円)で、2016年度に続き、増収減益で終わった。

減益の理由として、クローガーは自社年金制度の整備や配当金などの支出に加え、30億ドルもの設備投資を行っていることを挙げる。

ロドニー・マクマレンCEOが決算に対してコメントしている。

「2017年秋に『Restock Kroger』という成長戦略プロジェクトを立ち上げ、ビジネス全体として良い状況で1年を終えることができました。このプロジェクトを通じて、私たちは『顧客体験』の再定義を進めていますが、顧客の皆さんはそれを理解し、感じ取ってくれています。そしてロイヤルティという形で私たちに応えてくれています」

「2018年度は『Restock Kroger』を、年間通じて実施する初年度となります。私たちは、年間計画と長期ビジョンの両方を実行します。自信を持って、アメリカ国民の食に対するインスピレーションが高まり、食費タイする向上心が芽生えるようなプログラムを用意し、提供していきます」

Restock Kroger(リストック・クローガー)は、昨2017年10月に打ち出された計画だ。「オンラインとオフラインをシームレスに結びつけることによって、顧客の買物体験を再定義する」というプランである。クローガーはデジタルマーケティングの子会社「84.51°」の保有する膨大な顧客データを活用して、「顧客それぞれに個別対応した商品を薦める機能を改善する」と発表している。

第4四半期が終わった段階で、Restock Krogerの成果として、以下のような結果が発表されている。

顧客の買物体験の再定義
・オーガニック商品の年間167億ドルを売り上げた(オーガニックPB、SimpleTruth®の売上高20億ドルを含む)
・クローガー本社のあるシンシナティ市のダウンタウンにKroger Culinary Innovation Center(料理研究センター)を開設
ClickList(ネット注文商品を店頭でピックアップするサービス)対応店舗が1000店を突破
・自然食品(オーガニック&ナチュラルフード)やローカル食品(地産地消商品)の供給拡大のため、Natural Foods Innovation Summit(自然食品イノベーションサミット)を主催
Fair Trade Certified™(フェア・トレード認証)商品の展開を拡大

顧客価値のための提携
・コンビニエンスストア部門をEGグループへ21億5000万ドルで売却する、最終合意を発表
Scan, Bag, Go(専用端末で商品をスキャンしながら買物ができるサービス)を400店舗に展開する計画を発表
・デジタルウォレット(電子マネー決済サービス)提供のため、Chase Payと提携

人材育成
・スーパーマーケットで1万人の新規雇用を創出
年金システム保護のため、International Brotherhood of Teamsters(労働組合)と労働契約を批准

クローガーの決意
・インディアナ州グリーンズバーグの製造工場に廃棄物をエネルギーへ転換する、新システムを追加
・飢餓ゼロ・ごみゼロのためにReFED(食品廃棄削減活動をするNPO団体)と提携
・Sustainable Packaging(持続可能なパッケージ)連合に参加

全米ナンバーワンのスーパーマーケット企業もその地位に慢心することなく、常にイノベーションを追い求めていることがわかる。その結果、クローガーはデジタルセールス(EC売上げ)が昨年対比で90%伸長し、13年連続でマーケットシェアを拡大している。

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