イオン、ベトナムのスーパーマーケット2社と資本業務提携
イオングループは2014年~2016年度の中期経営計画の中で、「アジアシフト」戦略を掲げて、アジアへの出店を加速させている。
現在アジア圏では、日本、韓国、中国、インド、オーストラリア、フィリピン、インドネシア、マレーシア、カンボジア、ミャンマー、ラオス、タイ、ベトナムの13カ国で展開している。
その中でイオン㈱はベトナムの大手スーパーマーケット、Fivimart社ならびにCitimart社と資本・業務提携の合意に至ったことを発表した。
<提携を発表した3社のトップが記者会見に登壇。左がイオンの岡田元也社長。
2015.1.27ホテルオークラ東京>
First Vietnam Joint Stock Company Ltd.が運営する「フィヴィマートFivimart」。ベトナムの北部に位置する首都ハノイに20店舗を展開している。1997年に創業し、2013年12月期の売上高は約54億円。
Fivimartのダン・ティエン・タン会長。
「ベトナムは人口の50%以上が21歳以下で、その大部分が都市部に集中している。したがって、小売業が発展しやすい環境にある。イオンとFivimartは今後5年で40店舗の出店、さらにはベトナム証券取引所への上場を目標としている」
そしてもう1社はDong Hung Co.,Ltdの「シティマート Citimart」。こちらはベトナム南部の最大都市であるホーチミンを中心に27店舗を保有する。創業1994年で、57億円(2013年12月期)を売り上げる。
Citimartのラム・ミン・フイ会長。
「ホーチミン市内に『AEON CITIMART』という新しいスーパーマーケットの展開を始めた。店舗レイアウトや品揃え、店内サービスなど、お客さまから好評を得ている。2025年までに500店舗という大きな目標を掲げ、成長していきたい」
今回、ベトナムでスーパーマーケット事業を始めることとなったイオンだが、同国での事業は2008年に「イオンフィナンシャルサービス」の割賦販売サービスでスタートしている。2011年には「ミニストップ」のコンビニ事業、そして2014年に「イオンモール」のショッピングセンター事業を開始。
しかし、いずれの事業もイオングループ単独での展開。ではなぜ、スーパーマーケット事業を始めるにあたり、現地企業との提携に至ったのか。2つの理由が挙げられる。
ベトナムの正式名称は「ベトナム社会主義共和国」。社会主義国家なのだ。もちろん、「ドイモイ(刷新)路線」として知られる、市場経済システムの導入や対外開放化を推進しており、外国資本を受け入れつつある。外資企業の参入が増加する一方で、法規制もまだまだ厳しいのが現状だ。その意味では、現地企業と合弁会社をつくったことは、イオンにとってメリットが大きい。現地2社にとっても、競合店の出店や他の外資企業の参入脅威にさらされる中、日本トップの小売業であるイオンは非常に強力なパートナーとなる。
それぞれとの合弁会社へのイオンの出資比率は、30%と49%。主導権は現地企業に握ってもらう。
また、日本と同じように南北に長い国土を持つベトナムは、北部と南部では天候も文化も大きな違いがある。「地域密着」を目指すイオンにとって、それぞれの地域で最大規模の店舗数を持つ両社と提携することは、必要不可欠な戦略なのだ。
イオン㈱取締役兼代表執行役社長の岡田元也さん。
「次なる消費大国ベトナムはイオンにとって最重要市場。イオンはASEAN諸国の中で成功してきた部類に入ると思うが、現在、マレーシアへの依存度が非常に高い。そこで、次の重要なマーケットとしてベトナムを選んだ。しかし、モールとGMSだけでやっていくのは無理がある。
スーパーマーケットを単独でやっていくのは、さらに無理がある。現地の2社と提携することで有意義なポジションを築き、最初から新しいマーケットに臨むように取り組んでいかなければならない。FivimartおよびCitimartとの提携によって、イオンの人間だけでは到底得られないスピードと企業家精神でベトナム小売業No1を目指していきたい」
アジア進出の経験を豊富にもつイオンが選択した、現地企業との資本業務提携という戦略。さらなるグローバル企業へと成長していくうえで、大きな布石となることは間違いない。
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