百貨店9月は台風で客足鈍るもシルバーウィークの好天で前年比1.8％増

平成27年9月の全国百貨店売上高概況が日本百貨店協会から発表された。
調査対象百貨店は、82社238店で先月と変わらず。
シルバーウイークの成績はどうだったのか。9月の百貨店の詳細をみてみよう。

9月は雨の日が多く、とくに東日本には台風が接近し記録的な大雨となったため、客数に大きな影響がでた。しかし、休日が11日あり（年同月より1日多い）、シルバーウイークは一転、好天に恵まれたため、売上高は4463億8471万円、前年同月比1.8％プラスと6カ月連続増となった。

地区別でみると、10都市で好調だったのは次の4都市。
福岡が、154億7412万円、プラス9.1％（3カ月連続）
仙台は、65億5719万円、プラス5.0％（2カ月ぶり）
京都は、182億2789万円、プラス5.0％（2カ月連続）
東京は、1173億2104万円、プラス4.9％（6カ月連続）

9月は福岡が9.1％と大きな伸び。また、先月マイナスだった仙台が、5.0％と好調であった。10都市でマイナスだったのは、広島の▲0.5％だけで、あとの札幌、横浜、名古屋、大阪、神戸もプラスを計上した。

10都市以外の地域は、九州地方が2.8％プラス、中国地方が1.3％のプラスであったが、残りはマイナスと不調であった。シルバーウイークは大都市に人が流れたといえる。

商品別でプラスとなったのは、
身のまわり品614億7314万円、プラス4.6％（6カ月連続）
雑貨779億3305万円 、プラス11.0％（6カ月連続）
家庭用品212億8857万円、プラス0.5％（3カ月ぶり）
食料品1116億2243万円、プラス1.6％（4カ月ぶり）

雑貨は11.0％で、今月も二桁増。細分類でみると、化粧品がプラス15.3％、美術・宝飾・貴金属がプラス13.6％と相変わらず好調だ。身の回り品も6カ月連続のプラスであった。

また、今月は家庭用品が3カ月ぶりのプラス。細分類では家電は▲10.3％と不調であったものの、家具がプラス7.0％と好調で全体では0.5％のプラスとなった。量販店の価格競争の中で、百貨店の家電はマイナス基調だが、家具が好調だということは、高級・本物志向の客層がまだ健在ということか。

食料品も4カ月ぶりにプラス。細分類を見ると、菓子2.4％、惣菜2.2％、その他食料品が2.7％のプラスであった。しかし生鮮食品は▲1.3％となり、これは、天候与件から価格の高騰した葉物野菜の売り上げ低迷の影響が大きかった。

一方マイナスとなったのは、衣料品の2.8％減で2カ月連続。細分類で見ると、紳士服0.7％プラス、子供服1.3％がプラスとなったが、婦人服▲3.8％、その他衣料品が▲6.1％となり足を引っ張った。

訪日外国人客の売上げは、購買客数が231.8％プラス。売上高も180.0％増となり、2013年2月から32カ月連続のプラスでこの傾向はまだまだ続く。国慶節を前に高額品の売上げが、若干落ちているが、化粧品を含む消耗品が確実に伸びて、シェアも拡大している。

大手百貨店グループの9月の売上高をみてみよう。

・㈱三越伊勢丹ホールディングス 　1.2％プラス　　
　　雑貨が19.7％と二ケタの伸び。
　　衣料品はマイナスだったものの子供服は6.1％のプラス。
・J.フロント リテイリング㈱ 　 2.6％プラス　　
　　雑貨はインバウンド効果で化粧品が増加。
　　その中で時計が前年の2割増、宝石は二桁増であった。
　　身の回り品はカバン・旅行用品が好調。
　　シルバーウイークの影響や秋の旅行シーズンの準備とみられる。
　　食料品は物産展催事が好調の惣菜が牽引した。
・㈱髙島屋（単体13店舗）　4.4％プラス　　
　　雑貨が15.9％。細分類では化粧品21.6％、美術・宝飾品・貴金属11.9％と好調。
　　家庭用品9.6％。細分類では家具19．5％、家電は▲51.8％。
　　衣料品は▲0.8％だったが、子供服だけは好調で5.7％のプラス。
・エイチ・ツー・オー リテイリング㈱　 4.1％プラス　　
　　雑貨が好調で、26.4％のプラス。
　　衣料品は2.6％プラス。その中で紳士服12.7％、子供服5.0％プラス。
　　婦人服はマイナスであった。

先月に引き続き、どの企業もプラスである。雑貨と身の回り品は相変わらずの好調を続けている。また9月の傾向としては、天候の影響もあり苦戦している衣料品の中で、どこの百貨店も子供服だけは好調であった。季節の変わり目、秋冬にかけての衣替えとしての売上げの伸びか。

また、シルバーウイークは彼岸の季節でもある。夏休みに続き故郷の家族と会う機会の多い時期なので、そのためのおしゃれ着購入か。または、故郷に帰京した際の祖父母からのプレゼントが売上げを伸ばしたのか。21日は敬老の日であったが、元気で余裕のある現代のお年寄りは、もらうより与えるのが今の風潮といえるのかもしれない。

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