【9月商業動態統計】小売業▲1.9%・季節調整済みで横ばい

経済産業省から9月の商業動態統計速報が発表された。
9月の「卸売業」と「小売業」を合わせた商業販売額は36兆6420億円で、前年同月比▲4.8%季節調整済みでも▲1.8%とマイナス。

*季節調整とは、経済統計の原計数から季節の変動による業績のばらつきを取り除いた指数。月ごとに変化する休日数、気温による需要の変動などの季節の要因を取り除いて、業績を正確に評価するために調整される数値である。業界ごとの協会の統計にはこの調整がない。実数値である。経済産業省統計の意義はここにあるといってよい。

1.卸売業の販売額動向
販売額は、25兆6190億円で▲6.0%となり、季節調整済みは▲1.5%だった。

業種別に見てもプラスはなし。マイナス幅の大きい順では、衣服・身の回り品▲24.3%、繊維品▲11.0%、鉱物・金属材料▲9.4%、その他▲9.1%、農畜産物・水産物▲7.9%、家具・建具・じゅう器▲7.1%、各種商品▲5.6%、医薬品・化粧品▲5.3%、機械器具▲5.2%、化学製品▲4.6%、食料・飲料▲1.3%、建築材料▲1.3%とすべての項目でマイナスとなった。

大規模卸売店
販売額は8兆8446億円となり、昨年同月比▲5.9%。

商品別に見るとプラスは、一般機械器具8.0%、家庭用電気機械器具3.5%、その他1.7%。
一方マイナスは、その他の輸送用機械器具▲36.2%、繊維品▲20.8%、石油・石炭▲18.7%、鉄鋼▲13.8%、化学製品▲9.2%。

2.小売業の販売額動向
販売額は11兆0230億円で▲1.9%。季節調整済みは±0.0%。

詳細は下記のとおり
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(表はすべて経済産業省大臣官房調査統計グループ編商業動態統計月報による:以下同じ)

医薬品・化粧品が0.5%プラス。
織物・衣服・身の回り品は不調で▲8.0%。秋物衣料の伸び悩みが響いたようだ。
飲食料品も▲0.3%と振るわなかった。

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小売業の業態別結果を見ると、百貨店・スーパーの販売額の合計は1兆4705億円
前年同月比は▲2.7%(既存店では▲3.2%)。また季節調整済みも▲1.0%とマイナスが並ぶ。

【百貨店】
百貨店は4684億円で▲5.2%(既存店は▲5.0%)。季節調整済みは▲0.7%。

主力の衣料品は、全体で▲8.4%(既存店▲8.2%)となり不調が続く。
詳細を見ると、紳士服▲11.3%、婦人服・子供服▲9.4%、身の回り品▲6.0%、その他も▲4.4%とすべてがマイナスとなった。

飲食料品
は▲3.0%(既存店▲2.8%)。

その他は▲2.0%(既存店▲1.7%)。
家庭用電気機械器具11.4%と二桁増で好調。その他は±0.0%で横ばい。
家具▲18.7%、食堂・喫茶▲7.2%、家庭用品▲3.7%の3項目はマイナスとなった。

【スーパー】 
ここでいう「スーパー」は総合スーパーと大手食品スーパーマーケットである。
販売額は1兆0021億円で▲1.5%(既存店も▲2.3%)。季節調整済みでは▲1.0%。

主力商品である飲食料品は±0.0%の横ばい(既存店▲1.0%)。

衣料品は、全体では▲10.4%(既存店▲10.3%)と二桁減。
詳細を見ても身の回り品▲16.2%、その他▲14.1%、紳士服・洋品▲10.7%、婦人服・子供服▲7.0%。
どの項目も落ち込みが激しい。

また、その他は▲3.2%(既存店▲3.9%)となった。
家具▲24.4%、家庭用品▲9.7%、家庭用電気機械器具▲3.0%、その他の商品▲1.6%。
食堂・喫茶は唯一、プラス8.9%と好調だった。

【コンビニエンスストア】
商品販売額及びサービス売上高の合計は9552億円で、プラス4.0%。
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(単位:億円、店、%)

内訳は商品販売額が9075億円でプラス4.3%。
ファストフード及び日配食品、加工食品、非食品すべてがプラスとなり好調。
しかし、サービスは1.7%のマイナスだった。

【家電大型専門店】
全店販売額は、3119億円でプラス0.3%。
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生活家電と通信家電は売上げを伸ばしたが、他はマイナス。とくにカメラ類は二桁減。スマホの普及が影響している。

【ドラッグストア】
全店販売額は4523億円で、プラス4.2%。
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食品9.6%プラスを筆頭に6項目でプラスを維持し好調。
OTC医薬品は±0.0%の横ばい。
しかし、健康食品と、ヘルスケア用品(衛生用品)・介護・ベビーはマイナスとなった。

【ホームセンター】
販売額は、全店で2469億円だが、前年同月比▲4.3%。
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内訳を見ると、マイナスが並ぶ。とくにインテリアは▲11.5%と二桁減となった。
その中でオフィス・カルチャーとペット・ペット用品がわずかながらプラスとなった。

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2016年9月の結果をまとめると、
卸売業は▲6.0%、その中の大規模卸売店は▲5.9%。
小売業は▲1.9%となり、両者を合わせた商業合計は▲4.8%。
小売業はマイナス幅も小さく、季節済前月比では±0.0の横ばいだったので、まあまあということか。

ただし。小売業の業態別の前年同月比をプラスの高い順に並べてみると、
ドラッグストア 4.2%
コンビニエンスストア 4.0%
家電大型専門店 0.3%
スーパー ▲1.5%
ホームセンター ▲4.3%
百貨店 ▲5.2%

ドラッグストア、コンビニエンスストアはいつもながら好調を維持。そして家電大型専門店がプラスとなった。家電専門店は8月に▲11.1%の二桁減となり一番低迷していたが、今月は持ち直し、わずかながら上向きとなっている。百貨店は厳しい環境に変わりない。

最後に日本政府観光局(JNTO)から発表された9月の訪日外客数の統計結果を見てみよう。
商人舎Dailyニュースでも報告済みだが、9月の訪日外国人客数は191万8000人で前年同月比19.0%増。これまでの2015年9月の161万2000人を上回り、これは9月としては過去最高を更新。

また今年日本を訪れた外国人旅行者が、10月30日に2000万人を超えたと国土交通省より発表があった。昨年1年間の1973万人余りを早くも上回り、2カ月を残して過去最高を更新した。

しかし、最近の訪日外国人旅行者には消費行動に変化が起きており、「モノ消費」から「コト消費」へと変わりつつある。買物だけではなく、日本食を味わったり、旅そのものを楽しむ傾向となり、体験を重視する旅行者が増えている。買物でも「爆買い」は減り、高額品から日本製品の特長がでて日用品・消耗品へと移りつつあることが、数カ月前から続いている。

ドラッグストアが今、まだ伸びているのは、化粧品や医薬品、日用品などを外国人客が購買し続けてくれているからでもある。

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