【10月百貨店】売上高既存店▲3.9％、地域別でみても日本列島すべて減
日本百貨店協会から10月の百貨店売上高概況が発表された。調査対象百貨店は81社234店。前月から2店減少した。
売上高は4755億1553万円、前年同月比は既存店ベースで▲3.9％となり、8カ月連続で前年を下回った。内訳としては、売上高96.8％を占める国内市場は3.6％の減。インバウンド(同シェア3.2%)は▲13.2％で7カ月連続。しかし、購買客数は8.6％増となり、45カ月連続で増え続けている。
主要10都市は全体で対前年同月比▲3.8％。
すべての都市でマイナス。
大阪▲5.3％、東京▲4.4％、京都▲4.4％、仙台▲4.3％、神戸▲4.0％、福岡▲3.2％、
横浜▲2.9％、名古屋▲1.3％、広島▲1.1％、札幌▲0.5％。
9月はプロ野球で優勝を果たしたセ・パ両リーグの本拠地である広島と札幌だけがプラスを計上したが、10月はどちらもマイナス。ただ広島、札幌のマイナス幅は他の地域と比べれば小さいので、多少の効果はあったのかもしれない。
10都市以外の地域は、全体では▲4.1％。こちらもまた全地域でマイナスとなった。
北海道▲7.7％、中部▲5.0％、九州▲4.5％、関東▲4.4％、中国▲3.9％、東北▲3.6％、
近畿▲2.6％、四国▲2.5％。
主要5品目の10月の動向は以下のとおり。
主力の衣料品は、1667億1043万円、▲6.5％で12カ月連続。
婦人服▲7.1%、紳士服▲5.4％となり、ほかのカテゴリーもすべて不調に終わった。
身のまわり品は、614億5644万円、▲3.5％となり、3カ月連続。
雑貨は、810億7721万円、▲1.4％で3カ月連続。しかし化粧品は5.4％増と、19カ月連続で好調を維持している。美術・宝飾・貴金属は▲6.8％で8カ月連続。インバウンド消費の売上減からもわかるように、高額商品は伸び悩みだ。
家庭用品は、211億9640万円、▲7.7％で10カ月連続。家電は▲31.2％、家具も▲9.0％と大幅に減少している。
食料品は、1180億8139万円、▲2.1％で87カ月連続。7年以上ずっとマイナスが続いていることになる。生鮮食品、菓子、惣菜すべてのカテゴリーがマイナスとなった。
主要5カテゴリーすべてが、8月、9月に続き3カ月連続でマイナスという結果に終わった。
大手百貨店グループの10月の業績を個別に見てみよう。（％はすべて対前年同月比）
㈱三越伊勢丹ホールディングス
国内百貨店事業（三越伊勢丹計＋国内グループ百貨店計）▲2.3％。
三越伊勢丹合計は▲3.0％。
三越伊勢丹単体では、主力の衣料品は▲2.2％。詳細を見ると子供服だけが2.3％プラス。家庭用品は▲3.9％。食料品も▲4.6％。その中でサービスだけが20.8％のプラスを計上。インバウンドは客数は前年並みだったが、客単価は下落している。
J.フロント リテイリング㈱ ▲5.0％。
紳士服飾及び化粧品が好調。秋冬婦人服は月前半の気温高により動きが鈍かった。また心斎橋店本館建替えによる面積減に加え、昨年の立替え前の売り納めセールの反動が響き、全体ではマイナスとなった。
㈱髙島屋および国内百貨店子会社17店舗 ▲3.8％
雑貨が唯一プラスとなって、0.2％。その中でも化粧品は13.7％と二桁増と好調だ。しかしほかはすべてマイナス。気温が高かったことで衣料品が苦戦したのが大きな要因となった。なお、免税販売額はプラス11.3%と好調に推移している。
エイチ・ツー・オー リテイリング㈱ 百貨店は▲3.2％。
部門別詳細データは、全店（阪急阪神百貨店・阪急オアシスのスーパーマーケット事業・イズミヤ事業）の数字だが、その他以外はすべてマイナスとなった。客数はわずかに0.1％増だったので、客単価が減少していることになる。
ここに掲載した大手百貨店はすべて昨年同月比マイナスという結果だった。
10月の結果をまとめると、地域別に見ても日本列島すべてマイナス。主要5品目（衣料品・身のまわり品・雑貨・家庭用品・食料品）もすべてマイナス。協会によると、8月（▲6.0％）、9月（▲5.0％）よりはマイナス幅が減少していて、改善傾向だというが、マイナス要因はというと、気温が高かったことで秋冬衣料の伸び悩んだことしかあげられていない。土・日・祝日の日数も昨年より1日多かった。つまり大きなマイナス要因はないということだ。それだけ百貨店業界の深刻さが浮き出てくる。
「11月、12月は歳暮とクリスマスギフトの利用顧客の買い回り需要を確実に取り込むことにより、更なる改善を狙っていく。」と協会では結んでいるが、年末こそ百貨店の出番である。この歳時を大いに盛り上げて、今年を乗り切っていくしかない。
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