9月SC統計|既存SC売上高12.7%増/外出需要が高まり、2カ月連続2桁伸長
(一社)日本ショッピングセンター協会(東京都文京区、清野智会長)が10月25日(火)、2022年9月の「SC販売統計調査」を発表した。既存SC売上高は前年同月比プラス12.7%で2カ月連続プラス。
今年は行政による行動制限がなかったことや、新型コロナウイルスの感染状況が徐々に落ち着いてきたことで外出需要が高まり、反動増となった。ただし、台風により臨時休館や営業時間短縮などを行い、売上げに影響したSCがあった。
2019年と比較するとマイナス18.6%となり、8月のマイナス16.1%からさらにマイナス2.5ポイント、マイナス幅が大きくなった。2019年9月は、10月からの消費税増税前の駆け込み需要があり、その反動減によるものである。
テナントは、前年同月比伸長率プラス15.3%となった。業種別に見ると、前年に宣言等で影響を受けた飲食がSC周辺でのイベント開催や館内の販促イベント実施による来館者増で好調だった。ファッションは下旬からの気温低下により、アウターなどの秋物衣料が高稼働した。
キーテナントは、前年同月比伸長率プラス3.1%となった。中心地域・大都市は引き続き百貨店の売上げが牽引した一方、周辺地域では前年に宣言等の影響で内食需要の高かったスーパーなどが、その反動減と商品値上げの影響で伸び悩んだ。
立地別では、中心地域・大都市は総合で前年同月比伸長率プラス27.1%となった。前年はテレワークを実施していた企業が多く通勤客の外出が少なかったが、今年は宣言等の行動制限がなかったことにより、通勤客の多い駅周辺のSCが好調だった。また、連休が2回あったことや感染状況が落ち着いてきたことから、旅行客や地方からの来館が増え、テナント、キーテナントともに、ほかの立地と比較して伸長率が高かった。
中心地域・中都市は総合で前年同月比伸長率プラス11.7%、周辺地域は総合で9.3%となった。SC周辺でのイベント開催や、館内の販促イベント実施により来館が増えた。
地域別では、全9地域で前年を上回った。
北海道は、総合で前年同月比伸長率プラス21.8%となった。旅行客の来館が増えたことで、他地域と比較して伸長率が最も高かった。
関東は、総合で前年同月比伸長率プラス12.3%となった。通勤客が増えたため、周辺地域よりも中心地域の方が伸長率が高かった。
近畿は、総合で前年同月比伸長率プラス11.9%となった。中心地域は前年の宣言等の反動で駅周辺のSCが好調だったが、周辺地域は前年の巣ごもり需要がなくなったため、GMSを中心としたキーテナントの売上げが伸び悩んだ。
業種別に見ていくと、ファッションは、中旬まで気温が高く推移したことから秋物衣料の稼働が鈍かったが、下旬からの気温低下により後半は好調に推移した。ポイントキャンペーンなどの販促施策も好調を後押しした。
2回の連休で遠方からの観光客などが増えたことにより、飲食や土産品が好調だった。飲食は前年の酒類提供制限の反動もあり伸長しているが、依然として夜間の引きが早く、ディナー営業が苦戦しているという声が聞かれた。