イオンリテールnews|イオン移動販売でも年末年始商戦

イオンリテール(株)(千葉市美浜区、岡崎双一社長)が運行させている移動販売が年末年始商品の営業を展開している。

イオンリテールの移動販売は現在宮城、千葉、神奈川など7店舗で運行している。

きっかけは2011年の東日本大震災だ。宮城県の気仙沼や石巻の被災地を、車に商品を積み込んで巡回販売した。その後、移動販売車を開発して、千葉県、神奈川県などで展開している。自治会や地元の協力を得ながら、買物が不便な地区の集合住宅や老人ホーム、戸建ての庭などで販売する。

神奈川県横浜市にあるイオン天王町店は移動販売する店の一つだ。6エリアを週2回巡回する。午前10時にスタートして販売し、いったん12時に店に戻り商品を補充して午後便を走らせる。1拠点は20分ほど。

師走の28日(金)に巡回するのは、横浜市西区にある集合住宅「三ツ沢ハイタウン」だ。三ツ沢ハイタウンは横浜駅から車で10分ほどの小高い丘の上にある。開発されて50年ほどが経つ集合住宅で、高齢者が多く居住している。周辺には全日食チェーン加盟店とコンビニしかない。しかもそれらの店は丘を下らないとない。高齢者には日常の買物が不便なエリアだ。

天王町店からイオン移動販売と書かれた特注車1台と一般車1台が団地前の庭に到着する。その到着を待ちわびたように、団地に住む社会調査協議会の人たちが、車を誘導する。ここでは、協議会の人たちの協力を得て販売する。

天王町店のスタッフ3名が次々に買物かごを逆さに並べていく。さらにその上に車に積んできたクレートに入ったままの商品を置いていく。まるで青空市のようだ。

特注の移動販売車は、冷凍、チルド、常温の3温度帯の仕様で、そこには生鮮3品、惣菜・弁当、乳製品、加工食品、飲料、日用雑貨などがぎっしりと並んでいる。車2台体制で運ぶのは600アイテムに上る。この日はさらに年始用の正月花、鏡餅、玄関飾り、おせち具材などの商品を積みこんできているから650アイテムほどになるだろう。

切り花や福袋も品揃えしている。

おこたセットは天王町の企画。

青空市のようだ。

2時になると次々にお客がやってくる。そのほとんどが高齢者だ。杖をつきながらやってくる高齢者もいる。買物かごが用意されていて、お客は次々に商品を見て、選んで、かごに入れていく。足の不自由なお客には、協議会のメンバーがついて買物や会計をサポートする。

移動販売の良さは自分自身で商品を見比べながら購入できることだ。5年ぶりに自分で購入したと喜ぶ老人ホームの入居者もいたと言う。

移動販売の品揃えは店頭と変わらない。正月用品を販売するように、季節が変われば商品を変える。生鮮・惣菜は定番で売れる。果物、甘酒、アイス、焼き芋などが高齢者には人気だ。注文も受け、次回の巡回時に届ける。三ツ沢ハイタウンは2017年8月に移動販売を開始した。お客同士の口コミで広がり売上げは150%ほどになった。バスケット単価も上がっている。自宅までの距離が短いので購入数量も多いのだ。

また移動販売でも店頭と連動して、イオン火曜市やお客さま感謝デー5%オフのプロモーションも行われる。さらに生活催事や旬に合わせた商品も用意する。秋のさんまはトロ箱で2つ分完売した。食品だけでなく暮らしに合わせた商品も揃える。夏季には扇風機6台が売れた。炊飯器も売れた。冬にはライトダウンジャケットも売れた。これはとくし丸などのスーパーマーケットの移動スーパーとは異なる総合スーパーのイオンの強みだ。

お客と対面で販売するため、お客の声をダイレクトに聞くことができる利点もある。あるとき、TVで見た商品を求めたお客がいた。その情報を店にフィードバックして、店頭でも商品を訴求して好評だった。

御客の大半は常連客だ。並んで会計を待つ間に会話をして知り合いになることもある。だから移動販売で買物をすることが楽しみになるお客が多い。三ツ沢ハイタウンの移動販売にはこの日、40人以上のお客がやってきた。バスケットいっぱいに正月用品を買いこんでいた。移動販売の品揃えはまだまだ試行錯誤中だが、お客の暮らしに寄り添う52週MDが目指す方向だ。

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